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美食日記
01


「名前!帰りにモック行くんだぞ!」

「え?」

「決まりだからな!」











いつものように強引に手を引かれ、アル御用達のモクズナルド―通称モック―に立ち寄り、カウンター席に隣に並んで座る。


アルはビックモックとバニラシェイク。私はモックポテト(Lサイズ)をつまむ。


「聞いてくれよー!最近アーサーが会うたび『名前は何処だ?』って聞いてくるんだ」

「そんなにアーサーとちょくちょく会うの?」

「そうなんだよ。君の引っ越し先の住所は知らないらしくてさ。あ、ポテト食べるよ」

「うん」

「でさモグモグモグ、いつもモグモグモグ、そんな様子でモグモグモグさ、言ってやったモグモグモグんだ、俺はズコーッ!」


軽くアルの話を受け流し、大量のポテトの中からしなしなポテトを選別する。


「名前」

「ん」


アルに、カリカリポテトを口に突っ込む。


「君またしなびた奴ばっかり食べてるのかい?ぜったい!カリカリの方が美味しいのにさ」

「そんなことだからアルはアルなんだよ。この柔らかい感触とフライドポテトであるという事実のギャップがいいんじゃん。カリカリなんてもう廃れた文化だよ。なんにしても私はこの趣向を変えるつもりは無いからね!」


「…君ってほんと、食べ物のこととなると饒舌だよなぁ」


「アルがいつもうるさ過ぎるだけだよ」


そう言って再びポテトの選別にかかる。


アルがまた喋り出すかと思いきや、顔を見ると、珍しく表情を暗くして黙りこくっている。


「どしたの?」

「…俺、そんなにうるさいかな」

「うん。うるさいよ」


アルが右手のシェイクを握る力を強くする。


「…名前は…もう…」


「名前!」

「あーっ!!名前がいるんだぜ!」






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