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美食日記
02


「680円になりまーす」

「どーも!」


マカロンを店員さんから受け取る。

店員さんはニコニコと聞いた。


「お二人はデートですか?」

「いや違―」

「そうなんです!」


耀さんの声に被せる。

店員さんは更に笑みを深めた。


「でしたらこちら、カップルの方にサービスでメロン味と苺味をお付けしております」

「ありがとうございます!」

「…それが目的あるか」


店から離れると、耀さんがため息をつく。


「そういうことすると男が勘違いするあるよ。我は別ある」

「でもアルもノリノリで付き合ってくれますよ。手繋いだり肩組んだりして」


あはは、と笑うと睨まれた。

私は咳払いしてマカロンを頬張る。

サクッとした生地に、中のトロッとした生地が絡まり大変美味だ。


「ふむふむ。二階のマカロン屋は綺麗だけど味的には前からある三階の洋菓子屋が上かなー」

「お前やっぱ舌はいいあるな。美味ぇある」


耀さんもマカロンを食べている。

耀さんは最初は面倒臭そうだったけど、やっぱり料理人らしく、興味深そうについてきている。

楽しんでくれてるかな。ちょっと嬉しい。


「そのメロン味はなかなか秀逸ですよね。でもプレーンは三階の方が美味しいんですよ」

「この味だったら再現できそうあるな」

「そんな主婦みたいな」

「ゆくゆくは持ち帰りできるデザートメニューに…」

「中華料理店のですか?」


それはいらない。


「お前らだって我の料理食た後美味そうに食ってたある!」

「でもやっぱり中華料理店にマカロンは合いませんよー。杏仁豆腐とかあるじゃないですか。大好きですよ!」

「お前の好みは聞いてねーある」


冷た!


「そろそろお昼ですね!」

「お前こんなにちょこちょこ食っといてまだ昼に食うあるか?」

「当たり前じゃないですか!」


耀さんに呆れた目で見られた。


「軽い物置いてるとこにして欲しいある。我はもう腹いっぱいあるよ」


「あ、じゃあ、美味しい紅茶が飲める店知ってますよ!」






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あきゅろす。
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