美食日記
04
お店は閉まっていたが、まだ灯りが灯っていた。
躊躇いなく店の扉を開けると、席に座っていた耀さんが目を丸くしてこちらを見た。
「お、おおお前…なんでここにいるあるか…」
視線を逸らして聞く。
なんで?…なんでだっけ。
私…。
「…お腹、空きました」
ぽつりと出た言葉に、耀さんが片眉を上げる。
「耀さんの炒飯が食べたいです…多分」
「多分てなんあるか…まあ、ちょっと待つよろし」
耀さんは、厨房に行って、すぐに皿を持ってきた。
美味しそうな炒飯を目の前にすると、さっきまでのモヤモヤした気持ちは何処かに行ってしまった。
「いただきます!」
あぁ…っやっぱり美味しい!米がパラッとしてて、噛む度に味が広がる…。
「昼歩いてたヤツはなんあるか」
そんなことを考えていると、耀さんが急に聞いてきた。
堪能していた物を呑み込んで、耀さんの顔を見る。
「昼歩いてた…あ!ロヴィーノさんのことですか」
「そうある。どういう関係ある」
「えっと…」
今日知り合って、一緒に歩いたり食事したり…。
「お友達ですね!」
「…嘘あるな」
関髪入れずにそう言った耀さんに顔をしかめる。
「なんでですか!」
「お前はともかく、相手はそういう雰囲気じゃなかたある」
「そんなことないですよ!ジェラート食べないかって誘われて、一緒に食べ歩いて、ディナーに行っただけじゃないですか!」
「それを『ナンパ』っていうある!」
「ナンパなんかじゃありません!ロヴィーノさんはお友達です!」
「まったく…何処まで天然なら気が済むあるか」
口論が続くかと身構えたが、顔を上げた耀さんは、ふわりと微笑んでいた。
予想外の表情に一瞬固まると、頭の上に耀さんの手が乗せられる。
「…名前は、にぃにがしっかり守ってやらねぇといけねぇあるな」
なんですかそれ、と言おうとしたが、あまりにも耀さんが楽しそうなので、口を閉じた。
耀さんの意外に大きくて、温かい手が、私の髪を撫でる。
なんだか、胸の奥がギュッと絞まるような気がしたのは、
お腹がすいてるからだ
「と、いうわけでもう一皿」
「深夜料金取るあるよ」
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