美食日記
01
今日は休日。
ぶらぶらと街を歩いていると、後ろから声が聞こえた。
「なぁ。今一人か?」
「……」
私じゃないと思って歩を進めていると、前方にぬっと人が現れた。
「なぁ。無視すんなよ」
「あ、私でしたか」
「そうそう。今暇か?」
…あれか、俗にいうナンパってやつか。
アルが、「ナンパされたら俺を呼べよ!すぐに飛んで行くぞ!ヒーローだからな!」と言っていた。私はアルならできると信じている。
「いえ、暇じゃな―」
「近くに美味いジェラート屋があるんだが、奢ってやるから一緒に食べねぇか?」
「くないです!行きましょう!」
見ず知らずの私にジェラート奢ってくれるなんて、なんていい人っ!
「お前名前なんていうんだ?」
「名前って言います」
「名前か。可憐なお前にぴったりの名前だぜ」
キランといい人の目が光った。
よくわからないけど、笑っておこう。奢ってもらうんだから、よいしょくらいはしとかないと。
「ありがとうございます。あなたは?」
「俺は、ロヴィーノ・ヴァルガス」
「よろしくお願いします」
ロヴィーノさんはジェラートを買って、近くのベンチに腰かけた。私も同じように座る。
「んんんんっ!!!」
「な、なんだ!?味、変だったか?」
「めっっっちゃ、美味しいですこれ!!」
顔を綻ばせてジェラートを舐めていると、ロヴィーノさんが何故か顔を赤くして、私を凝視していた。
「?なんですか、ロヴィーノさん。あ、もしかして、ジェラートいります?」
「う、あ、ああ」
私が差し出したジェラートを、ロヴィーノさんはぺろりと舐めた。
「じゃ、ロヴィーノさんのも下さいね」
「え!?ちょ、お前」
私が身を乗り出してロヴィーノさんのジェラートを舐める。
「ふぁあああ…ロヴィーノさんのジェラートも美味しいですねぇ…っ」
「か、間接き…」
「え?」
「いや、何でもないぞ、このヤロー!」
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