美食日記
03
「ふひゃあぁああ!今日も美味いぃいいい!!」
「お前は黙って食えねぇあるか」
呆れたように肘をついて私を見る耀さんに、にやけた顔で返事をする。
「そんなの無理ですよぉ。綺麗な女性がいたら誉めないといけないように、美味しい料理は誉めないといけないんです…!」
「名前さん、ヨンス知らないですか」
すっかり仲良くなった湾さんの言葉に、あ…と呟く。
同時に、裏口の扉が豪快に開いた。
「名前ーっ!!探したんだぜ!置いてくなんて酷いんだぜぇえええ!!」
ヨンス君が私に突撃するように抱きついてきた。
「あー…。ごめんね、ヨンス君。よしよし」
頭を撫でてやると、少し静かになった。
「あいやー…。お前…酷ぇある」
「いや、面目ない…」
「おっぱい触らせてくれないと許さないんだぜ!」
「こら待て発情期」
「おっぱいマンセェエエエ!!!」
「ぎゃぁああああ!!!」
私に覆い被さったヨンス君の後頭部がガンッ!と音をたてた。
崩れ落ちたヨンス君の後ろを見ると、湾さんがにっこり笑って中華鍋を持っていた。
湾さん怖ぇ!!
「いや、でも忘れたのはあれだけど、やむを得ない事情があったんだよ」
「やむを得ない事情?」
「うん…」
私は思い出してまた一人でにやけた。
「ねぇ、ヨンス君…」
そして、ヨンス君に向かって親指を立てて言った。
和食は日本の文化だよ!
「俺韓国人だからわかんないんだぜ」
「え、このタイミングでカミングアウト!?」
「私も台湾人なんですよー」
「何だよ、この多国籍兄妹」
「我は…」
「中国人ですよね、見たらわかります」
「…」
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