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美食日記
02


あぁ。やっぱりいいなぁ。中華。

この焼ける音がいいよねぇ。だんだん匂ってくる美味しそうな匂いがお腹を刺激する。


はぁあ…。お腹空いてきたぁ…。


「ただいま帰りましたー」


私が空腹に悶えていると、可愛らしい声が聞こえてきた。

パタパタという音とともに居間に女の子が入ってくる。

一本だけアホ毛が出ているが、ふわふわの髪の可愛らしい娘だ。

ふわふわさんは私を見つけると大きい目をパチクリさせて歩み寄ってきた。


「こんにちはー」

「こんにちはー。お客さん、入り口はこっちじゃないですよー」

「あ、私ヨンス君の友達の名字名前って言います」

「あ!」


ふわふわさんは顔を赤くして礼儀正しくお辞儀した。


「初めまして。私ヨンスの姉の湾です。お馬鹿な弟がいつもお世話になってます」

「そんな!むしろこっちが……げふんげふん」


よっしゃ、自重成功。

首をかしげるふわふわさんもとい湾さんに、腹を押さえながら笑いかけた。


「綺麗なところですね」

「もともとおっきな中華料理屋だったんですよー。それを師匠(センセイ)が譲り受けたんです」

「師匠?」

「あ、耀のことです」

「へー。あぁ、腹減った」

「お腹空いたって言ってください。もうできるんじゃないかな?ちょっと見て来ますね」

「すみません」


パタパタと走って行く湾さん。どうやらあっちがキッチンか。

しばらくすると、皿を持った耀さんと湾さんが出てきた。


「待たせたあるな」

「どうぞー」


目の前に並ぶ料理の数々にゴクリと唾を呑む。


「では…いただきます」


私は意を決して、料理を口に運んだ。


「どうあるか?」


「お…おぉおおおお!!!!!」

「ど、どうしたある!?」

「めっっっっちゃ美味いですこれ!!」


私はそう言うや否や、素早く箸を動かし始めた。


「お弁当も美味しかったけど、やっぱり出来立てとはこんなに違うものなんですね!なんですこの青椒肉絲のピーマンのシャキシャキ感!加えてこの絶妙な調味料!あぁー!この麻婆豆腐!本場の味だあぁー!!辛い、けど美味い!!もちろんこの餃子も大変美味です!」


「わかったから少し落ち着くよろし」


呆れたような耀さんの声に、私は食べることに全神経を集中した。






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あきゅろす。
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