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2.盗撮が犯罪って知ってますか?(済)
平和な日々が続いている。それはもう、平和すぎてハウウェザーが危うく廃業してしまいそうになるほどだった。
そんな穏やかな日常の真ん中で、何やら穏やかでない笑みを浮かべている人物がいる。
「ふ、ふふ…っ…これもかわいいなぁ…」
アメはさっきから携帯を眺めては気持ちの悪い声を漏らしていた。はたから見ればただの変質者である。
さすがに変質者には近寄りたくないのか、ハレとライはそれを遠巻きに見つめていた。
「なぁ、ハレ…あれはどう考えてもキモいよな?」
「ああ、あれはまごうことなき変態だ。正義の味方の顔じゃねぇよ。」
ハレとライは完全に引いていた。一人で携帯を見てにやにやしたり恍惚の表情を浮かべたり、たまに奇声を発したり。
これはまずい。事態は深刻だと思わざるを得なかった。しかるべき医療を!と声高に叫びたい気持ちでいっぱいだった。
「やべぇって、あれ…見てらんねぇよ…」
「そうだな…。とりあえず、あの携帯に何があるのかを調べるのが先だ。」
ハレはリーダーとして、アメをこのままにしておけばいずれはハウウェザーの威厳に関わるとさえ思った。普段はドMで実は変質者とか笑えない。ガチ過ぎる。あの端麗な容姿をもってしても、抗えるとは到底思えないのだ。
しかし、携帯を調べると言っても難しい。アメが携帯から離れる時間…チャンスはアメの入浴中、もしくは携帯を充電している間…。というか正義の味方が人の携帯を盗み見ようとするのは果たして許されるのだろうか。ハレとライは、悪を成敗するために悪事を働くという戦隊ものの矛盾をひしひしと感じているのだった。
「盗み見るっていうと聞こえが悪いだろ。検証だよ。そうだ。やましいことなんて一つもないぞ。なぁ、ライ?」
「お、おう。ハウウェザーの権威のため…だろ?」
二人はお互いの後ろめたさを消そうと躍起になっていた。些かの小心者感は否めないが、彼らの心は美しかった。
チャンスは思いの外すぐにやって来た。台所からユキがアメを呼んだのだ。アメは嬉しそうにスキップをしながらユキの元へと向かった。
…例の物を残して。
「ぅおおい!ラ、ライ!携帯!」
「ハハ、ハレ…!な、何ビビってんだよ!検証するんだろ!?」
完全に声が裏返っていた。チャンスが巡ってきたら巡ってきたで困ってしまうのだ。しかし、正義の味方に変質者がいてはならない。二人の正義感は燃えていた。
「あ、当たり前だろ!いくぞ!」
意を決してアメの携帯を見る。どうやらデータボックスを開いていたようで、携帯にはある写真が写し出されていた。
「なんだこれ…」
「ユキの写真…だな。」
そこに写し出されていたのは、何てことない普通のユキの写真だった。それは例えば洗濯物を干しているところだったり、料理を作っているところだったり。ごく日常的なものだ。しかし、二人は一抹の違和感を覚えた。
「これ…どこから撮ってるんだ?」
「あれ、おい!ハレ見ろよ!ここ、うちの植え込みじゃね?」
「ああっ!ほんとだ!なんでわざわざ!」
ページをめくるうちにだんだん気付かされる。これは堂々と撮っているのではない。どこか離れた場所から、ユキにバレないように撮っているんだと。
そして二人は、ある決定的な一枚を目にした。
「あ、おいこれ!」
「ユキの…寝顔?しかもこれユキの部屋だろ…」
「…これ不法侵入じゃね?犯罪じゃね?」
いやいや、もうここまで来たら普通に怖い。ドン引きなんて甘いもんじゃない。二人はアメを軽蔑する勢いだった。
変態通り越して犯罪者とか洒落にならない。逆に面白い。
「ユキに報告…する?」
「…いや…さすがにアメの命が危なそうだから…とりあえず画像削除しとくか…」
二人はかなり酷な処罰を下し、アメの携帯からアメ宛に「盗撮が犯罪って知ってますか?」と警告メールを送っておいた。
その後、ユキの用事から帰ってきたアメが断末魔の叫び声をあげたのは言うまでもない。
end.
でもバックアップとってるからね!(byアメ)
とは言いつつアメ様はこんなことしないと思う。
でもユキちゃんの写真でにやにやしてほしかった。その欲望だけで生まれた話でした。てか盗撮には携帯よりデジカメだろ、と書いてる途中に気づいてしまいました。
でも現実的に考えてアメ様はユキちゃんのピン写じゃなくて二人で写りたいタイプだと思う。というか自分のピン写でSDカード16Gくらい平気でいっぱいにしそうなイメージ。
関係ないですが、ハレとライが仲良くしてるとなごみます。
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