sub 星屑の君の街(神戸×祇園) ※方言男子で神戸×祇園 寒いなぁ、と呟くと、神戸に後ろから包み込まれるように抱き締められた。こうしたらあったかいやろ?なんて。得意気なのが声でバレバレ。 「何もそんなくっつかんでええやんか」 「なんで?こうしたほうが暖かいやん」 「せやけど…」 「それにさ…」 「それ、に?」 「夜景見ながらこうやってくっついてたら、恋人って感じするやん?」 「あほ…」 腰に抱きついている神戸の腕に力がこもる。さらに密着した体から、神戸の体温が流れ込んできた。あったかい。安心する。そっと神戸の胸に寄りかかると、神戸はふっと笑った。 冷たい風が頬を刺す。冬の匂いが僕たちを包んでいる。街の夜景はずっとキラキラしていて、京都にはないきらびやかさを晒し続けていた。 どちらかと言えば、僕は人工的で派手な光は苦手だ。ぼんやりと灯る燈籠や、ゆらゆらと揺れる蝋燭の火を見ているほうが気分は落ち着く。それでも、この星屑を散りばめたような街に愛着を感じてしまうのは、この男が住んでいる町だからに他ならない。その光の一つ一つに、あいつの笑顔を見てしまうのだ。…我ながら、きっついなぁ、と思ってしまう。 「祇園?何ぼぉっとしてるん?」 「ぼぉっとなんかしてへんわ」 「…いや、してる。何考えてたん?」 「別に、なんも考えてないよ」 「ほんまに?他の男のこととか考えてへん?」 「僕のことなんやと思ってるねん」 はぁ、と息を吐くと、それは白く漂ってやがて消えた。神戸がぼそぼそと文句を言っているのが耳に当たって苦笑してしまう。こんなにでかい図体をして、僕には強く出られないなんて。 「神戸かわええな」 「はっ、?」 「ほんまに、僕のこと大好きやねんから」 「う、うるさいなぁ!」 「まぁ僕も、同じくらい神戸のこと好きやけど」 「…っ!あぁもう!祇園ちゃんのほうがかわいいわ!なんで人を馬鹿にしてる時にそんなかわいい顔で笑うん!」 もう中入ろう、と神戸は言って、半ば強引に僕の腕を引っ張った。部屋の暖かい空気が僕たちを包んだかと思えば、いきなり神戸に唇を塞がれる。性急な行為に少し驚いてしまったが、僕は神戸の甘いキスに酔いしれてしまった。神戸のキスはお菓子のようにふわふわとしていて甘い。僕は神戸とのキスが好きだ。吐息が混じりあって、体温が上がって、きもちいい。 神戸の服の袖をぎゅっと握る。やっと離れた唇からは、乱れた吐息しか漏れなかった。神戸は顔を切なく歪め、僕を見つめていた。その瞳が、僕に何を訴えているのか、痛いほどわかる。 「祇園、ちゃん…」 「…ええよ」 「へっ!?」 「発情してもぉたんやろ?」 「っ、祇園ちゃん!」 「ええよ、僕も神戸と一緒やから」 今度は僕から、神戸の唇に触れた。僕の行為に驚いた神戸は、肩をびくりと震わせた。やっぱりかわいいなぁ、なんて悠長に構えていたら、いつの間にか視界が反転して、気づけばベッドに押し倒されていた。 「っ、神戸…」 「誘ったんは祇園ちゃんやねんからな!」 「わかってるよ」 「祇園、好き」 僕の体の上に覆い被さっている神戸をじっと見つめると、目が欲に濡れてギラギラしていた。その瞳は、先ほどの夜景と呼ぶにはあまりに荒々しいけれど、僕にとってこれほど美しく愛しい光はなかった。 end. 寒いのを言い訳にしていちゃつく二人を書きたかったのです ★ [*前へ][次へ#] [戻る] |