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崩落の予感(小政)
※BSRで小政
貴方をお守り出来るなら、私の命など惜しくないのです、と、小十郎はどこか嬉しそうに言う。
小十郎の忠誠は昔から変わらないが、たまにその忠誠が怖くなる。
小十郎の気持ちを受け入れないわけではない。むしろ、それがあるからこそ、俺は安心して戦える。
だからこそ、失うことが怖い。きっと、小十郎が俺を失うのと同じくらいに。
「お前は、死ぬのは怖くねぇのか」
「貴方様を守って死ぬのなら、死など恐れるに足りません。しかし…」
そっと伏せられた目。睫毛が月明かりに照らされて、影ができる。その姿があまりに綺麗で、思わず息を飲んだ。
「しかし、私が貴方様をお守り出来なくなることが…いいえ、貴方様のお姿を見られなくなることが、怖い。貴方に…政宗様に、触れられなくなることが、どうしようもなく恐ろしい…」
ああ、こいつは馬鹿だ。
どこまでも俺を大切に想って、自分を犠牲にして、挙げ句死ぬ直前まで俺を心配するんだ。そして、俺を想って死ぬんだ。
頭のてっぺんから爪の先まで俺でいっぱいなんだ、こいつは。
「じゃあ、俺を守れるなら死んでも良いなんて言うな」
「、しかし」
「俺を守って共に生きる、だろ?」
死ぬときは一緒だ、なんて。そんなことは言えないけど。
出来るだけお前と一緒にいたいと願うことは罪じゃないだろう。お前が生に執着することを願うことは、罪じゃないだろう。
俺だって、お前を守れるなら死んだって良いと思ってる。そう言ったら小十郎は烈火のごとく怒るだろう。そんなのわかりきってるから、言わないけど。
「俺もお前に守ってもらえないなんて嫌だし、お前が触れてくれないなんて嫌だ。お前以外の奴となんてごめんだからな」
「政宗様…」
「浮気すらできなくしたのはお前なんだから、責任とってきっちり生きろ」
俺とお前じゃ立場が違うからそりゃ仕方ないけど、でも気持ちは一緒なんだよ、小十郎。
「でも、きっとお前が先に逝くだろう」
「…っ」
「その時は、俺がそっちに逝くまで待ってろよ」
来世では平和な世界で、何のしがらみもなく、二人で幸せにやりたいもんだ、なんて。笑って見せると、小十郎は今にも泣きそうに笑った。
end.
乱世だからこそいつ崩れ落ちるかわからない恐怖があるんだよってことを書きたかった。結果よくわからん話に。
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