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火に行く(銀土)
 



※銀魂で銀土です
※失恋ものです
※元ネタは川端康成の「火に行く彼女」です
※なんか中途半端です








ある夜の話である。

遠くの池が小さく光っていた。普段は幾らか古ぼけていてひっそりとした池だ。それが今日は提灯のようにぼんやりと光っている。
その向こう側に見える民家が、日に照らされている。火はみるみる周りの民家を飲み込んでいく。
火の不始末か、もしくは放火か。俺にはわからなかった。
池の鯉が一度、力なく跳ねる。
この世界に蔓延る天人たちがじたばたと走り回る。
気がつくと、辺りは昼間のように明るくなっていた。
池の周りの民家は、一帯火の海に包まれた。

──あの男が、土方が、一人すいすいと火に向かって歩いていく。その火に近づいていくのは土方一人だけだ。にも拘らず、土方は怖いくらいにいつも通りの出で立ちだった。

不思議に音のない世界だった。

火の海に向かって歩く土方の腕を、俺は必死に掴んでこちらに引き寄せた。あまりに当たり前のように火に歩く土方に、心がざわめいた。

その時、言葉は交わさないが、触れたところから確かに土方の心持と会話をした。


「おい、あっち燃えてんの見えねぇの?とうとうマヨネーズとニコチンで頭おかしくなっちまったんじゃねぇの?死ぬつもりか?」

「死にてぇわけじゃねぇ。でも、火から逃げた先にはお前の家がある。だから俺は火から逃げねぇんだよ」


息が詰まりそうだった。いつの間にか振り払われていた手は行き場を失い、俺はただ火に向かって歩く土方の後ろ姿を見ていた。
俺はとうとう息ができなくなって目が覚めた。
枕に涙が染みていた。


俺の家に近づくのすら嫌だとあいつが言うのは、俺にはもうわかっていた。あいつがどう考えていようと、もうどうでもいい。関係のないことだ。俺たちはもう終わった。この関係に、もう何の熱もない。ただ俺だけが、どうかあいつの中の一欠片だけでも俺に向いてくれたらと独り善がりに思っていただけだった。そんな自分を馬鹿みたいだと頭では思っていながら、それでもすがり付いていたかったのだ。

それなのに、こんな手酷い夢を見るなんて、俺はあんな風に思っていながらわかっていたのだ。あいつはもう、俺に好意なんて一ミリも持っていないことを。

夢は俺の心が作り上げたものである。夢の中のあいつもそうだ。夢には俺が隠したくて隠したくて仕方のないものを、容赦なく明るい場所へと引きずり出してしまう。

そう思って、俺は泣き出してしまいそうな気持ちでいっぱいだった。








end.








近年稀に見る改悪です、ほんとうにry
どうしても、妄想が膨らんでしまったのでやってしまいましたが、大した妄想も盛り込めずにただの自己満足になってしまいました。
うーん、なんだこれ。










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