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気紛れでないことを祈る。
 


※アメユキ
※学生時代というかヒーローアカデミー時代










夕日に照らされた横顔が綺麗だった。二人きりの帰り道。人通りの少ない道を歩く。


「ユキが僕のお嫁さんになってくれたらなあ」
「またそんなくだらない話ですか」
「だって、」


初めて会ったときから好きだった。一目ぼれであり、初恋だった。
お互い別の人と普通の恋愛を重ねてきたけど、どうにも上手くいかなかった。ユキはいつも相手に気を遣いすぎて、結局疲れて別れてしまうことが多かった。僕はどんな人と付き合ってもユキと重ねてしまって、付き合っていてもその人自身をを本気で愛せなかった。

叶わない初恋。いっそユキがどこか遠くへ行ってくれたら良いのにと何度も思った。でも、それとは裏腹に、僕はユキの行くところ行くところについていってしまっていた。気づけばお互い大人になるまで離れることはなかった。

諦めなければいけない。だけど、諦められない距離。苦しい時間を、もうどれくらい味わっているのだろう。


「ユキとなら長続きすると思うんだけどな」
「あんなに恋人をとっかえひっかえしている貴方がですか?」
「そうなんだけどさ…」


付き合いが長い分、お互いのことはよく知っている。恋愛において僕に信頼がないのも、ユキは僕の恋愛を間近で見てきたからだ。
ユキは可笑しそうに笑って、彼女たちみたいに傷つくのはごめんです、と言った。自業自得だけれど、胸の奥がズキンと痛んだ。


「ユキのことは泣かせたりしないよ」
「にわかには信じられません」
「ほんとだって!」
「だったら、試してみますか?」


夕日に照らされて、生憎表情は見えなかった。ただ、声は真剣だと感じたのは、僕の欲目か、それとも…。


「え、」
「…っなんて、冗談です」


そう言うと、ユキは早足で僕の前を歩いた。今の言葉、僕の都合の良いように取ってもいいのだろうか。
僕は大きく一歩踏み出して、ユキの手を掴んだ。
あの言葉。あの態度。そして、あの声。すべてが気まぐれではないことを祈って。









end.










遠回りした初恋。
タイトルは確かに恋だった様より拝借。












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