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そこには尻尾がありました。
 

※猫の日に便乗









ソファーに二人で腰かけて、何気なくテレビを見る。この冬の寒さはもう少し続くらしい。
僕はそっと、右側の体温に寄り添った。彼は、ふ、と笑って僕の肩を抱き寄せた。


「ユキから甘えてくれるなんて珍しいね」
「…少し疲れているだけです」
「あー…今日はよく仕事したしね」


世間は猫の日だなんだと賑わっていた。ハウウェザー基地も例に漏れず、このイベントを最大限に生かして、ハウウェザーを布教するべく、体を張って仕事に勤しんだ。
ただ、元気に可愛らしく振る舞い続けるというのは、体力の消耗が激しい。だから、ほんの少しだけ疲れてしまったのだ。


「ユキにゃん可愛かったなぁ…」
「その気持ち悪い呼び方やめてください」
「えー可愛いと思うけどなぁ、ユキにゃん」


僕の頭を、まるで猫をあやすように撫でて、彼は笑う。
愛でられている、と言えば聞こえは良いかもしれないが、どちらかと言えば、まだイベントの空気から抜け出していないだけだ。アメの表情には、浮かれてる、という表現がしっくりくる。


「ユキ、猫耳つけてよ」
「それは笑えない冗談ですね」
「じゃあしっぽは?」
「却下」


僕の言葉に、アメはむぅ、と頬を膨らます。子どもみたいな表情。思わず吹き出してしまった。


「あー!今馬鹿にしたでしょ!」
「いえ…っ、ただ、子どもみたいで可愛いなぁと思っただけです…っ」
「笑いすぎだよ!もう、ユキったら、そんな風に子ども扱いしてるけどさ、」


不機嫌そうな声が一変、艶を帯びたと気づいたときには遅かった。肩に添えられていただけの手に力が込められ、ぐい、と引き寄せられる。気づけば僕は、アメの胸の中にいた。
何が起こっているのか理解できずにいる間に、反対側の手が僕の体をまさぐり始めた。


「ちょ、っと!アメ…!」
「油断しちゃダメだよ?」
「な…、!どこに手を入れているんですか、っ…ひ、ぁ…」


その手は僕のベルトを外し、ズボンの中にするりと侵入してきた。しかし、手は浅いところにとどまっていて、一向に奥には進まない。ちょうど、腰の、尾てい骨の辺りを行ったり来たりしている。


「や、っ…くすぐったい…っ」
「ね、ユキ…ここって、昔しっぽが生えてた場所なんだよ?」
「何、言って…っ」
「ここ触られただけで感じちゃう?」
「かっ、感じてるわけじゃ…」
「もしユキにしっぽが生えてたら、すごく敏感だったかもね」
「…っ、変態!離れてください!」


ちゃんと拒絶したはずなのに、アメはなぜか瞳をぎらつかせてこちらを見ていた。最悪だ。こんなくだらないことで、彼の性欲を煽ってしまったなんて。

でも、もう後悔をしても遅かった。アメは、獲物を狙う獣のように、僕にキスをした。
ああ、もう逃げられない。僕は抵抗することを諦めて、そのキスに身を委ねた。









end.










尾てい骨責めという新しいジャンル。










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あきゅろす。
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