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遠距離恋愛ごっこ。
 


※東京で雪、大阪で雨が降っていたので突発的に書いてしまったものです











君は東京で、僕は大阪で。
新幹線でなら2時間半の距離。でも、ずっと隣にいることが当たり前だった僕らにとって、この距離はあまりに遠く、残酷だった。

ユキは昨夜言っていた。天気予報の期待通り、僕も頑張らないと、と。ユキは仕事なんてしなくていいのに。仕事なんかしなくったって、僕が養ってあげるのに!!何より頑張り屋さんのユキのことだから、無理してないか心配だ。


「心配だ!心配だよユキ!!」


僕も今すぐそっちに行きたいよ!何とか気温上げてくれないかな!てかこっちもう雨降らなくても良いよね!?ちょっとハレくんに頼んでこようかな!東京の気温を上げてくれって!そしたらユキのところに行けるよね!よし、そうしよう!大阪はハレくんに頼もう!!




というわけで。


「来ちゃった!」
「とっとと帰ってください」
「またまた照れちゃって!」
「照れてません。アポもなく勝手に来る男はモテませんよ」
「でもユキはそういう僕が好きでしょ?」
「自惚れるのもいい加減にしなさい」
「あああん!!これだよこれ!!やっぱりユキと軽妙なやりとりをしないと僕生きてる気がしないんだよ!!」
「うるさい!気持ち悪い!近寄るなこのド変態!!」


やっぱりユキは最高だ。僕たちには距離なんて似合わない。いや、あってはならない。
ユキは鬱陶しそうに僕を見下していた。その冷たい視線が堪らない。ゾクゾクする。もっと見てほしい。もっとその視線で僕を射てほしい。


「ユキ、最高…」
「はぁ…ドMならドMらしく我慢してください」
「それとこれとは話が別だよ!ユキを我慢するのは無理!」
「はいはいもう結構です。それより、どうするんですか。貴方がこっちに来てしまったがために、東京はみぞれになってしまったじゃないですか」


街を見渡すと、そこは白銀の世界を見事にぶち壊した、灰色の世界が広がっていた。雪でもなく雨でもないものが蓄積した道路は、もはや足元が悪いどころではなかった。


「…ごめんなさい」
「全く…後先考えずに来るからこうなるんですよ。皆さんに迷惑をかけて…」
「っ、この罰は!必ず受けるよ!どんな罰だって受けて見せる…!!石を投げられてもいい!水をぶっかけられてもいい!もう殴るなり蹴るなり煮るなり焼くなり罵倒するなり縛るなり好きにして!!」
「そんな嬉しそうな顔で言わないでください気色悪い」


想像しうる罰の数々を受ける自分…ちょっと考えただけでよだれが出た。

昼に差し掛かり、気温が上がり始めていた。街は徐々にいつものように動き始めている。


「晴れてきたね」
「そうですね。ハレもこんなに頑張らなくていいのに…」
「ねぇ、そろそろ帰ろう?」


もう、僕たちの出番は終わったみたいだ。あとはハレくんとクモリに任せて、僕たちは基地に帰ろう。
帰ったら何を話そう。会えなかった間のこと。寂しかったこと。ユキは全部聞いてくれるかな。
ユキはきっと呆れるだろう。「大した時間じゃないでしょう?」って。でも、僕にとっては永遠よりも長い時間に感じたんだ。


「基地に帰ったら慰めてね」
「叱ることはあっても慰めることなんてありません」


今日は僕たちに遠距離恋愛は無理だなぁと痛感した一日だった。










end.









昨日(2/6)のネタです。
東京のことはニュースで見た程度の知識です…












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あきゅろす。
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