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秋丸君の葛藤
「そんでさぁ、隆也は俺のことが好きなんだけど照れてんだと思う」
「おめでたい頭だなぁ」
「るせっホントなんだよ」
月曜の昼休み、俺は榛名と食堂にいた。

「話聞いてる限りじゃ隆也明らかに嫌がってんじゃん」
「だーからちっげぇよ。シニアん時はそれはもうべったべただったし」
「あきられたんじゃない?」
「んなわけあるか!好きだから今だに会ってんだろーが」
「もうわかったよ…」
この繰り返しでらちがあかないので、わざとらしくため息をついて残りの飯を平らげた。

話によると榛名は昨日シニアの後輩の隆也(勝手に呼ばせてもらってる)と本人曰わくデートだったらしい。
でもキスさせてもらえなかったと…

「まずもって男同士なんだし、普通の反応だろ」
「いや俺らセックスしてるし」
「…」
「なんで昨日に限って…あ、電話してみよ」
「…」

…まぁ榛名だし…あるよね…そういうことも…付き合ってる(?)んだし…ここは納得するしかない。
俺が一人悶々とする中榛名がかけた電話に隆也が出たみたいだ。

「おうお前よーなんで昨日ちゅーさせてくんなかったんだよ」
ちゅーって…言うな…
「あ?……」

隆也になにか言われたのか、榛名の動きが止まった。
「榛名…?」
カッと目を見開いたまま固まっているのでどうしたのかと思ったら、急に榛名の顔が赤くなった。と 思ったらぼそっと「好きだぜ」とつぶやいて静かに電話を切った。
正直少し気持ち悪かった。
「あいつ、ほんと可愛いな」
「いや…なにがなんだか」
「あいつよ、昨日リップ忘れて唇が荒れてたんだって」
「…」
「そんで俺にそれ知られるのがやだったんだって」
「…」
「そんなん俺気にしねぇのに…かわいい」
「…」
「だからいったろ?隆也は俺が大好きなの!」

そういってにっこり笑うこの男は、今本当に幸せなんだなぁと思う。
辛いことがあった分、俺だって榛名には今を楽しんでほしい。
社会一般的には普通じゃないのかもしれない二人の関係も、まぁ応援してやるのもいいかな。なんて思いながら榛名の前歯から覗くネギを眺めていた。



END

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あきゅろす。
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