青春プレイリスト 暇潰しに音楽アプリを眺めていたら、高校時代に作ったプレイリストを発見した。 そういえば、当時付き合っていた彼女と作ったりしていたっけか。 互いに互いが気に入った曲を勧め合ったりして、どんどん色んな曲が増えていったものだ。 例えば、自分では選んで聞かないようなガールズバンドの曲。 彼女が好きなアーティストのアルバムナンバー。 共感できると教えられたバラード。 なんかよく知らない昔の曲。 映画で話題になった主題歌。 俺の好きなロックシンガーの新曲。 一日一回は聞くくらい頻繁に流れていたCMソング。 ヘビロテするほど聞き込んだお気に入りの歌。 カラオケで歌おうと約束したデュエット。 そんな、俺たちの日々を彩った様々な曲が、沢山登録されていた。 今となってはもはや懐かしいとすら思ってしまう曲もある。 あの頃、どうしてこの曲をこんなに聞いていたのだろうかとか、そういえばこんな曲あったなとか、そういう気持ちになる。 あの頃は、確かにはまっていたはずなのに。 たった数年で、こんなにもあっさりと思い出に変えてしまえるのかと、自分の冷淡さにもびっくりする。 でも、それほどまでに時間が経ったということなのだろうか。 高校卒業、大学進学を機に、進路を違えた彼女とは別れた。 それからはすっかり没交渉な彼女のことを思い出したのも、このプレイリストがきっかけだ。 そのくらい、彼女とのことは、遠い昔のことのように思える。たった数年前の話なのに。 あの時は、全ての景色が色付いて見えていた気がする。 今だってそれなりに楽しい生活を送っているけれど、高校時代、あの瞬間、恋をしていたっていう輝きには勝てないと思う。 きっと、青春時代だけが持っている、魔法のような不思議な力があったんだろう。 それを表しているのが、このプレイリストなんだと思う。 今からこのプレイリストを流したら、あの頃の青春を思い出したりするのだろうか。 そんなことを思いながら、俺は再生ボタンを押した。 prev←→next |