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棒を燃やして忘年会



「…………」

「…………」

「…………なあ」

「…………何?」

「俺は、忘年会に誘われたんじゃなかったのか?」

「そうだね、ボウネンカイに誘った」

「じゃあ、どうして俺は、お前と一緒に、こんな何もない海岸で、たった二人で焚き火をしているんだ?」

「そりゃ、ボウネンカイだからだよ」

「こんな寂しい忘年会があるか???」

「あるよ」

「話しながらも薪をくべるな。さっきから何してんだよ。延々と焚き火に薪をくべてばかりで……」

「ボウネンカイだよ」

「だからさぁ……」

「こうやって、棒を、燃やして、棒燃会だよ」

「…………くだらねー!!!! えっ!? 俺は何に付き合わされてるわけ!?」

「まあまあ。お前もこうやって、棒を燃やしていくといいよ」

「いや、棒を燃やして何が楽しいんだよ。火遊びは小学校で卒業しろよ」

「まあまあ……。ほら、こうやって……」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………五月の連休に自分だけ休暇フルで遊び惚けてオレたちに仕事押し付けたクソ部長」

「……ん?」

「六月にヒステリーで新人辞めさせたクソお局……。七月にわけわかんない仕事押し付けて来たクソ部長……。クソみたいなミスをしたくせにその責任を全部オレに押し付けて悪びれもしないクソ新人……」

「待て待て待て、怖い怖い怖い! 何!? 棒と一緒に怨念燃やしてたの!? もしかしてコレ怖い会合だった!?」

「今年あったイヤなことは、来年には持ち越したくないからね」

「そこは普通に忘年会なのかよ!」

「ほら。棒も、燃やしたいヤツも、まだまだ沢山あるから。どんどん燃やして大丈夫だよ」

「闇が深い深い!! いや、そんなクソな会社なら辞めるなり転職するなりできるだろ!?」

「でも、金払いは良いから……」

「そっか…………」

「休日の日に限って家まで遊びに来る妹……。つまんねーことしか話してないのに声だけデカいYoutuberの隣人……。一回三百円のガチャというシステムを作ったヤツ……。ファミレスで一人分多い水を持ってくるウェイトレス……。毎朝電車で近くに座って来る全身加齢臭のオッサン……」

「怖い怖い怖い!! 俺の親友が世界を恨みすぎている!!」



2023/12/


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