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スタスカ短編
この声があなたに届くかな(射手×月子)









―宇宙ステーション―





梓がこの偉大なる宇宙に飛び立ってから早一年半

この中でいつも思っていることがある

それは自分の妻、夜久月子のこと

この1年半連絡もとれないまま会っていない

いや、会えないのだ

彼女は今どうしてるか、すごく心配で夜寝れないときが彼にはある








約一年前、梓が宇宙に飛び立つ前

彼女はこう言ったのだ




『私はいつでもここで待っているからね――――』




笑顔でそう言った。今でも覚えているその優しい笑顔

正直申し訳なかった。彼女のそばにいられないということ。実際彼女は寂しがっているかもしれないと考えると心が締め付けられる

「Whatisit?(どうしたの?)」

ふと仲間に声をかけられ、「Nothing(なんでもないよ)」と曖昧に答えた

彼女はふっと笑い、「Isthatso?(そうなの?)」と言った

「・・・あーあ、日本語に慣れると英語って案外面倒なものね」

急に日本語で喋ってきた。彼女はアメリカ人だが日本に留学してた。だから日本語はペラペラだ

「で、私にはいつも貴方が誰かのことを思っているように見えたんだけど違う?」

もういい加減諦めた梓は「そうだよ」と一言残しそっぽを向いた

それでも彼女は梓のほうも見ながらにやにやと笑っている

一体何が聞きたいのか。聞きたいことがあるならちゃんと言ってほしい

だけど彼女に伝わっているかわからない。いや、もしかしたら伝わっているのだろうけどからかっているだけかもしれない。もうほとんど諦めた梓は口を開いた

「・・一年半くらいでこうなんて情けないよね」

「でも結婚してからすぐこっちに来たんでしょう?今帰ってもどうせリハビリとかで会うのに遅くなるんじゃない?まぁ、貴方の奥様が毎日来るっていうならあれだけど」

「そんなものなのかな」

「そうそう。そんなもんよ」

単純だな、と梓は思った。まぁ彼女はいつも単純だ。それでいろいろと助かっているところもあるし、困ることもある

少しだけでも話をしたら気持ちが楽になった。梓は彼女に「ありがとう」それだけを言い残し自分の作業へ取り掛かろうとしたが・・・

「あ、ちょっと待って」

「なに?」

彼女が衛星携帯電話を投げてきた。投げてきたといっても、宙に浮く。梓はその浮いている携帯電話を取った

「今なら電波繋がっているみたい。早くしたら?」

「・・・サンキュ」

梓は急いで月子の携帯番号を入力した。そして



ピピピピピ・・・・



『はい、もしもし』



繋がった





「月子・・・さん」

『梓君・・・・!』

「今まで一人にさせてすみませんでした。僕は・・・」

『梓君、私がただ自分で待っているだけなの。だから謝る必要なないのよ?』

「だけど・・・!」

電話から微かな笑い声がたくさん聞こえた。それを今の梓は聞き逃さない。多分外にいるんだと梓はわかった

『言ったでしょう。私はいつでも待っているから。ただ・・・・』

「ただ?」






『梓君の声が久々に聞けて良か―――――』





ツーツーツー・・・・





電波が途切れた。それでもこの不安定な中、これだけ話せた
もう少し話したかった。だけどまたその声を聞くときは・・・・

















次は地球でね――――


あきゅろす。
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