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スタスカ短編
もっと僕を必要としてください(乙女×月子)









―オーストリア―






颯斗がオーストリアに用事があり、月子も一緒に行くことになった

街の風景が日本とはまったく違う。月子は不思議な感覚にとらわれていた

「月子さん大丈夫ですか?」

「平気だよ。何か初めてで緊張しちゃってるのかな・・・」

それは仕方が無いだろうと颯斗は思った。だって月子には初めて行く国であり、日本とはまったく違うのだから

でも月子の瞳の中には、嬉しさや楽しさもあった。この国ではどんなことが起こるんだろう

「あ!あれは?」

とても大きな建物がある。建物の上には馬に乗った人の置物がいくつか飾られてある

「あれはですね、Wiener Staatsoper・・・『ウィーン国立歌劇場』です」

「何をするところなの?」

「名前どおり歌劇場です。1920年までには『ウィーン宮廷歌劇場』と呼ばれていたらしいです」

「わぁ、颯斗君詳しいんだね!」

「僕も前まではよく知らなかったんですよ」

颯斗がにっこり笑う。颯斗はそんなことを言っていたが、何も知らない月子には冒険をしているみたいで楽しい

「じゃああれは?」

「確か・・・・」

月子がわからないことを颯斗が答えてくれる。なんだか申し訳ない気がしてきた

「あ、では僕は用を済ませてきますね」

「うん、私ここで待ってるね」

「すぐ終わらせてきます」

颯斗は急いで中に入った

月子は知っていた。今回のがすぐに終わることができないのを

その間街の中を歩いて、颯斗のために何かしてあげようと思った









二人の用事が終了後・・・






用が終わり急いで月子の元に来た颯斗は月子がそこにいないことに気づく

通常より長引いてしまったのが原因かもしれない。仕方ないだろう

だけど、月子が心配だった颯斗は外に出た

「あ、颯斗君!」

外に出ると月子がいた。右手にはなにやら荷物を持っている

「すみません、月子さん。遅くなってしまって・・・」

「ううん、いいの。私も勝手に街の中歩いてたから・・・あ、えーと」

「?」

月子はその袋から何かを取り出す。可愛いラッピングがされていた箱だ

それを颯斗に渡す。颯斗は「え?」と言ったが、月子が少し困ったような笑みを浮かべた

「今日いろいろと教えてくれたお礼と、いつもお世話になっているお礼!・・・私何もできてないから、少しでも何かできるといいなって思って・・・」

「・・・まったく貴方という人は」

「え?」

「僕は貴方に必要とされたいんです。なのでそんなこと考えないでください。もっと僕を必要としてください・・・!」

嫉妬というか何というか颯斗はよくわからない感情を抱いた

自分では気づいてないと思うが、颯斗は月子に必要とされないのが怖かった。遠くへ行ってしまいそうで

「わかった、ごめんね颯斗君。私颯斗君をもっと必要とするから!・・・っていっても、結構必要としてるのかも・・・・」

嬉しかった。そんなことを言われて

颯斗は月子に手を差し出し、「ありがとうございます」と言った

月子はその手を握り、二人は歩き出した











貴方には救われてばかりですね。本当にありがとう―――



あきゅろす。
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