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スタスカ短編
ペルセウス座流星群〜星の中に〜(冬組)
セミが五月蝿いほど鳴いている

そう考えると、この辺はセミがこんなにいたんだと感じられてしまう

(暑いなぁ・・・)

今日は特に暑い。こんな暑い日には冷たい物が食べたくなる

何でも良いから一口は食べたい。一口食べればすぐに体が冷えて、暑さには強くなるはずだ

そんなことを思っても、一口食べて体が冷えることはないのだが・・・

変なことを考えているから誰かが後ろから走ってくることを気づかなかった私はそのままゆっくり歩いてた

そして後ろから来た誰かがそっと自分の頬に冷たい物を当てて――――

「きゃ!?」

それでやっと気づく

後ろを振り返ると生徒会会長、不知火一樹がそこにいた

「よぉ、お前ぼうっとしてて平気か?」

持ってたその冷たい物を私に突き出して言う

その冷たい物の正体は―――アイスだった

コンビニで買ったアイス。私はそれを貰うと「ありがとうございます」と言った

「いえ、別に考え事をしてただけなので・・・」

「考え事・・・相談にのってやろうか?」

『冷たい物を一口食べたら体が冷えて暑さに強くなると思って』とか言えない。そんなこと言ったら絶対に笑われる

その前にそんなくだらないことを考えてたと思うと、もっと恥ずかしくなる

私は思いきって、「大丈夫です!!」と言うと一樹会長は笑う

「お前、面白いよな」

そう言いながら一樹会長は頭をぐしゃぐしゃにするように撫でる

私の頭を撫でるのをやめて、会長は「そういえば」と呟き私のほうをまっすぐ向く

「なぁ、明日空いてるか?」

「明日は予定も無いので大丈夫ですよ」

私がそう応えると、一樹会長がにっこり笑った

「よし、明日の夜屋上庭園に来い!颯斗と翼も呼ぶからな」

と言い残し、一樹会長は走ってどこかへ行ってしまった

明日は何かあっただろうか。私はうーんと考える

もし、最大なイベントなら今頃はもう哉太と錫也に言われてる

八月十二日・・・、あ―――――――――

そうだ、明日はペルセウス座流星群の極大日だ

ペルセウス流星群は十一日、十三日〜十五日の夜でも見れるということだったのでうっかりしてた

だけど今年は生徒会のメンバー達と過ごそう

私はそっと心に決めた




















八月十二日―夜―








一樹会長の通り私は、屋上庭園に来た

「みんなどこかな・・・」

そっと呟くと、後ろから声が聞こえた

「月子さん、こんばんは」

振り返るとそこには颯斗君がいた

颯斗君はにっこり笑うと私の隣にきた

「会長と、翼君たちはまだみたいですよ」

「うん、そうだね。何やってるのかな?」

待ち合わせ時間は夜十時

時間を見ると十分以上は過ぎている

隣にいた颯斗君が溜め息をついた

「あの二人は一体何をやっているのやら・・・」

確かに。私も同意する

一樹会長と翼君は仲がいいけど、その度何を起こすかわからない

発明を爆発させる翼君。暴走気味の一樹会長

それをいつも颯斗君が止めている

私は苦笑した。そして颯斗君と私であの二人を待っている

しばらくすると、遠くから足音が聞こえてきた

「おーい、書記〜そらそら〜!」

翼君の声だ。そちらのほうを振り向くと一樹会長と翼君が走ってくるのが分かった

「わりぃ、遅刻した」

一樹会長がにこにこしながら謝る

「翼君、会長何やってたんですか?」

「そうですね。ちゃんと理由を聞かなければいけませんね」

私と颯斗君が言うと、翼君がそれに答える

「うぬ!星を見るならやっぱ飲み物くらいは必要かなーと思って、ぬいぬいと一緒に買いに行ってたのだ」

「わざわざ街のほうまで行ってな」

よくみると一樹会長が袋を持っている

その中に色々な飲み物が入っていた

「そしたらさー、途中翼が寄り道しちゃってさぁ・・・・」

「ぬぬ!?ぬいぬいだって寄り道してたじゃないか!」

「お前よりは短いはずだぞ?」

「ぬいぬいは自覚してないだけだ。俺のほうが短い!」

「何を言う!お前のほうだ!」

「ぬいぬいだーーー!」

・・・・始まった

私が苦笑いして隣にいる颯斗君のほうを見る

うわぁ・・・、なんだろうこの殺意に似たような・・・

実際殺意とかそういうのは受けたことが無いから私には分からないが・・・

「・・・お二人とも」

「ぬいぬいは親父だからなぁ、親父は短気だから仕方が無いな」

「おい待て翼。それとこれは関係無い!親父だからってその言い方はないだろう!」




ぎゃーぎゃー




これはこれは、颯斗君の殺意らしいのがもっと増えてく

私は冷や汗が出てきた。あとそろそろだ

颯斗君はそっとミニ黒板を取り出した。そして私のほうを二人とは別の笑顔で見る

「月子さん、失礼します」

「は、はい・・・」

颯斗君は私の耳に「耳栓」を入れた。そして自分もつける

怒ると笑顔が怖い。私は怒ると笑顔が怖い人を二人知ってる

一人は颯斗君。もう一人は弓道部元部長、金久保先輩


金久保先輩は3年西洋占星術科だ。一樹会長と白銀先輩と仲が良い

今はもう弓道部のほうは引退された。そして弓道部現
部長は、宮地君だ


そんなことも思いながら急にこんな音が――――




キイィィィィィー!!





前を見ると一樹会長と翼君が「耳がー!」と言いなが
ら倒れている

隣の颯斗君はミニ黒板を爪で思いっきりあの嫌な音を出している

もしこの音をあの二人みたいに聞いてたら・・・

考えただけで鳥肌が立つ

颯斗君がミニ黒板から手を離すと、一樹会長と翼君は
ノックダウン

それを見て私はくすくすと笑った

「そらそら・・・ごめんちゃい」

翼君がダウンしながら言う。その次に一樹会長も謝る

「すまん、俺達が悪かった。だから黒板だけは勘弁してくれ!」

二人が必死に謝ってる。それを見ている颯斗君は溜め息をしたけどすぐに微笑んだ

「今回だけは許してあげます。三人とも空を」

私達は言われたとおり空を見る。そこには

「流星群・・・!」

たくさんの星が空から降ってくる。とても綺麗で一つも目からはなせない








私達はその星の中にいた。気づかずただそっと・・・



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