アイマイモコ 08 「――河野内は?」 「…何が?」 「あんたは、陸とどういう関係なんだよ?」 「…‥あー、兄弟、みたいなもんかな?それも微妙だけど」 瞬時、以前宮沢家の近辺で聞いた話しを、瑞樹は脳裏に掠めた。 「兄弟みたいな?――っ、もしかしてタクミくんとかいう人ととも何か関係あるの?」 「巧…?」 母さんが死んでから俺は、弟の巧と二人三脚でやってきた。兄弟仲だってとても良かった。 だから俺は…アイツのことも一度だって忘れたことない。 「巧のこと、誰かに聞いたのか?巧は宮沢の4つ下の弟だよ」 「4つ下の弟‥…――あ、あー、タクミくんって子の話しは、陸のお祖母さんのとこに行ったとき、周りで少しだけ聞いたけど…。なぁ?あんたは陸のことを知ってるのか?」 「‥…」 「前に、同窓会で友達が電話を掛けたら女の人が出て、陸はいないって言った!――陸が学校を休んだ時も、学校で登録されてる住所に行ったらお祖母さんが出て、やっぱり陸はいないと言った!」 「‥……」 「教えてくれよ。アイツ…‥今どこに居るんだよ?」 「はぁー…」 ――決して、誰にも隙を見せてはいけなかった。 心を支配されてしまうから… ――決して、誰にも涙を見せないようにしていた。 可哀想、だと同情されるから… だけど身を投ずるつもりもなかった。そんな事をしたら、自分に負ける気がしたから…。 ただの強がりなんだろうけど。 だけど―― 人生にはいろいろある。 誰かに振られる事だってある。 だから俺にとって、それはたった1度の失敗だと思っているから今は悲しくないし、もう落ち込まない、と決めた。 ――七転び八起き 俺は一体、何回転べば幸せを手に入れられるのだろうか? だけど俺は挫けない。 例え、今俺に信じられる人がいないとしても―― 「――どうやら、笹川には話した方が良さそうだな?」 「え…?」 「宮沢 陸のこと」 「っ!」 俺は、もう一度立ち上がる。 [*前へ][次へ#] [戻る] |