アイマイモコ
02
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「笹川瑞樹に話しかけた奴はどうなるかわかってんだろう?」
「あ、あぁ…」
「…――」
――もちろんそれは、学校に来てからだって同じだった。
相変わらずくだらないことしかしない奴らだ。バカバカしくて今や溜息すらも出てこない。
高野の提案に、つい先日まで笹川瑞樹と話していた奴らは正直戸惑いの色を浮かべてるのは俺の目から見てもよくわかった。けど、同情はしない。
どうせ、中途半端な嫌がらせをしたから引っ込みがつかなくなっただけだろうし、本当に俺や瑞樹を憎んでるだったら一人になってでも闘えるはずだし。
ホント、みっともないヤツらだ。
――まぁ、俺には関係ない。
「陸…」
「…‥っ、」
「おはよう」
なのに、瑞樹は俺が学校に来ると嬉しそうに駆け寄ってくる。
「ねぇ陸?どうやら俺も嫌われちゃったみたいだ。ハハハ」
「‥…」
「陸を好きって言ったからかな」
「‥何の用だ」
いつもなら、俺がこう言えば瑞樹は俯き、怖じ気づいて自分の席へと戻っていくんだ。
しかし、一向に瑞樹は戻ろうとはしなかった。――寧ろ、
「――陸と喋りたいから来た、っていう理由じゃダメかな?」
「…っ、」
「陸ともっと喋りたいよ…」
今日は違った。
「うるさい!」
「じゃあ黙ってるから」
「気が散る」
「邪魔しないから…!」
「…っ、」
何がアイツをそうさせたのか。
いつの間にか瑞樹は、意見の食い違いに怯えたり、友達に縋りついたりする事をしなくなった。
はっ、都合良すぎるんだよ。
人を散々邪険に扱ったクセして、今更俺に好意の目を向けたって瑞樹の信頼なんかもう取り戻せねえんだよ。
俺はもう人を信じない。
誰も信じない。
「ねぇ陸?」
「……」
「そんなに警戒しないで?」
「……」
俺はお前と…瑞樹と別れたあの日から、改めてもう誰も信じないと決めたんだ。
信じて裏切られて、勝手に傷つくのはもうイヤだから…
「離せよ」
「…‥陸?」
「勘違いすんなよ。クラスメートにシカトされてるからって、俺に同意を求めてんじゃねえよ!」
「…‥」
「うぜぇんだよ」
教室中に静寂が走った。
そして当然、クラスメートの視線が俺と笹川瑞樹に注がれた。
鬱陶しい…。
居心地の悪い教室を出ようと足を進めると、そのクラスメートの波間では、俺に向けて悪魔のように皮肉めいた笑みを浮かべる高野 秋がいた。
俺は一睨みすると、忌々しい教室を今度こそ後にしたのだった。
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