アイマイモコ 09 あれから4ヵ月が経った。 三学期ももうすぐ終わり、春になれば中学3年だ。 けど、俺はその時にはもうこの学校にはいない。 「陸、準備終わった?」 「まぁ、ボチボチ…」 俺はもうすぐ転校する。 親の仕事の都合というやつだ。 もう転校の手続きは済ませ、次の学校も決まっている。 普通の公立の学校だ。 登校日も残すこと、あと2日。 因みに、この事を知っているのは雄大だけだ。 瑞樹には何度も言おうか迷ったが、前のあの一件で転校の事を言わないとはっきり決めた。 瑞樹はあの時、俺が聞いてたなんてこれっぽちも思ってないんだろう? 相変わらず一緒に帰らず、お昼も食べていない。 たまに会えば、少し話す程度。 本当はこの数ヶ月少しだけ期待をしていた。 もしかしたら、また元の瑞樹のように一緒に帰ること、お昼も食べることを…‥ 「あと2日でお前も行っちゃうのかぁ!みんな絶対怒るぜ!」 「うん。覚悟してる。 けど春休み中に色々と準備しないと」 「………」 クラスメートには終業式の日に言うつもりだと、担任と打ち合わせ済みだ。 お祭り好きな奴らばっかりだから、事前に俺が転校するって分かったら、絶対にお別れパーティーとか開きかねないから… それは少し、別れが辛くなるから敢えて言わなかった。 「……あいつに。…瑞樹に言わなくて本当に良いのか?」 「……うん、良い。 瑞樹とは明日で最後だ!」 俺は自重気味に笑うと、雄大も苦笑いをした。 瑞樹には振り回されたけど、本当に大好きだった。 あんな形で瑞樹の気持ちを知ってしまったけど、やっと俺も気持ちの整理が出来そうだ。 これでもう、心置きなく転校ができる。 「そっか。陸が決めたんなら良いや!帰ろうぜ?」 「おう。帰ろう!」 ──明日は終業式だ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |