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アイマイモコ
10

「……」

「……」

これじゃあまるでストーカーだ。

俺は陸の後をつけていった。
しかし、そんな陸は後ろから付いて来る俺に構いもせず、足を緩めることもしなかった。

どんどんどんどん‥

その歩幅に付いていけるように俺も極力足を速めたが、中々肩を並べて歩くことが出来ない――否、陸がそうさせないんだ。
アイツが俺を警戒してるから…

「……」

――否、そうさせたのは他でもない、この俺なんだよな?



「な、なぁ、陸はクラスメートともう話さないのか?」

「……」

「じゃあ俺が仲裁に入るよ。それなら陸も話しやすいだろ?」

「……」

「陸、なんか言ってくれな―」

あんなに前を歩いていた陸と、やっと肩を並べることが出来た。
だけどそれは俺が陸に求めていた思いとはかけ離れていた。

「茶番は終わったのか? 終わったんだったらもう帰れば?それに、お前の独り言に付き合ってるほど暇じゃないんだよ」

「え‥」

「“俺が仲裁に入る”?はっ、笑わせんなっ!お前バッカじゃねぇの?お前のその戯言、もう聞き飽きたよ。 進歩がないってお前みたいな事を言うんだな?」

「………っ、」

進歩がない。
それが俺の悪いところなのか?

「なぁ陸、だったら俺に教えてくれよっ!お前は俺のどこを直せば良いと思うんだ?具体的に教えてよっ」

「な、何言って…」

「陸、お前にはないのか?自分の癖とか…。 俺はいっぱい知ってるぞっ、お前が照れると俯く姿とか授業中にペンをクルクル回したりする癖をっ!」

「っ、悪いところなんて、それくらい自分で考えればっ…」

「それが出来ないんだっ!いくら考えても分かんないんだ。だから他の人から見た俺っていうのを、教えて欲しいんだっ」


雄大はどうしようもない時は人に頼り、自分でやらなきゃいけない時は自分でやっていた。
だけど俺は、ずっと人は一人では生きていけないという言葉に甘んじていた自分がいたのだ。
そして対する陸は、人に頼らず自分で決めて、いつも自分で行動をしていた。

『じゃあ俺が仲裁に入るよ。それなら陸も話しやすいだろ?』



――俺の言った、名誉挽回の為に用意したこの言葉が、茶番だと言うのなら、じゃあお前は、どんな言葉を掛けてやれば楽になるんだろうか?

なぁ、教えてくれないか、陸…

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