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アイマイモコ
19

「お前は、中学の時からそうだったよな!こういう面倒事になると、すぐに逃げるんだ!あの時だってそうだった」

「……」

「いつもいつも、傷つくのは陸ばっかり!それでも陸は、俺にだって弱音を吐かなかった」

「……」

普段は何でもない顔をしているのは陸だけではなく、雄大もわりとそういうタイプだった。
俺は言い返したいのに、やっぱり雄大の言ってることはいつだって自分の図星を言い当てられてしまうんだ…。

「お前の傷なんて、ほんの少しに過ぎないのに、お前が被害者づらするのが許せなかった」

「…っ、ほんの少しって…。俺だって必死だったんだ」

「うるせっ!お前なんか、陸の前から消えちゃえば良いんだ」

「…っ、雄大?」

「お前が変わらない限り、お前なんて一生まともな恋愛どころか友達なんてできねぇんだよ!」



…まともな‥友達?


「だってそうだろう?誰一人陸を助けようともしない奴なんて、まともとは言えないだろ!」

「…‥え」

俺が納得してない事がわかったのか、雄大は俺自身の友達についてを分かり易く語った。…が、それはとても残酷で冷たい現実を突きつけられた。
そんな現実に、俺は一瞬眩暈に近いものを感じた。

「本当の友達は困った時に助け合ったり、手を差し伸べたり、そういうもんだろう!?それが本当の友達なんだよ!」

「…‥」

「いつも守ってもらおうと思っているお前なんかに、誰が友達が出来るんだよ!…俺だったらそんな奴、絶対願い下げだ」


バッサリ言い切られた。
何も言い返す言葉など、俺には無に等しかった。
だって思い出しちゃったから…



『木内。俺の背中に乗って』

『…え?で、でも‥』

『いいから。…その足じゃあ歩くの辛いだろう?』

──自己犠牲になってまで誰かの為に背中におぶった陸も…

 
『さてと、私ももう少しだから頑張ろうっと!』

『え‥木内、お前まだ歩くつもりなのか?!』

『うん!だってせっかく頑張ったんだもん。宮沢くんに頼ってばかりじゃ意味ないしね』

『…‥大丈夫か?』

『うん、平気だよ』


──誰かのために、肩を組んで友達を支える女子達も…

ちゃんと友達だった。

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