アイマイモコ
07
突然の自分の名前に、耳の穴をカッポジって聞いてしまった。
「あぁ…――陸ね？」
「そう！宮沢 陸！ お前らよく一緒にいたのにな？」
「別に…」
“別に”そう白けた顔して言った瑞樹に、胸がズキリと痛んだのを気のせいだと思いたい。
「ていうか、瑞樹。ぶっちゃけどうなんだよ？宮沢と付き合ってんのか？だって１年の時からお前ら異常にベタベタしてたから、みんな噂してたんだぜ？」
え？そうなのか？俺、みんなに噂されてたなんて知らなかった。
ていうか、ベタベタって…。
まぁ、付き合っているっいうのは事実だけどさ。
自分の事実に少し照れくさそうに笑った俺。だけどそんな思いとは裏腹に、瑞樹は友達の疑問に突然吹き出した。
「――付き合ってる？俺と陸が！？あはははは、冗談やめろよ。あんなつまんない奴と付き合うわけないだろ！？」
──え？
「違うのか？」
「あったり前だろ！アイツ男だぜ？キモイ事言うなよ！」
──瑞樹？
「だよな？！キモいよな？」
「けど瑞樹。仮にも友達に“つまんない奴”はないんじゃねぇか？あははは！」
「良いんだよ〜！陸は、アイツは別に友達じゃないんだから！」
──言葉が出ない。
「そっか、だから最近お前ら一緒にいないんだ！」
「そう。陸ってさ、暑苦しいんだよな？」
「あぁ、それわかる。宮沢ってすげぇガキくさいよな？でもなんでか宮沢ってクラスの奴に好かれてるよな？」
──もう聞きたくない。
「あ、授業終わったみたいだ。みんな戻ってくるし行こうぜ」
そう言ったのは瑞樹だ。どうやら１限が終わったらしく瑞樹はクラスメートが教室移動から戻ってくるので場所を移ったらしい。
そうだ。俺もみんなが体育の授業から戻ってきちゃう。
早く自分の席に戻らなきゃ。
「………‥っ」
そう思うのに俺のこの足が素直に動いてくれない。
ドアの前に座り込んだまま歯を食いしばって、悔しくて泣きたい気持ちなのをグッと堪えた。
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