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アイマイモコ
11

イチゴ狩りが終わると今度はハードな山登りが始まる。
みんなは「ダルーい」と言いながらも、意外と楽しそうに山を登っていた。
まぁ、中には先生の目を掠めて携帯で彼女や彼氏に電話をかけはじめた奴もいたけど。

「はぁはぁ‥おーい瑞樹ぃ、生きてるかぁ?!」

「結構しんどい…‥」

当然、体育が苦手な俺にはこの山登りは辛いものがあったり…
けど秋は、そんな俺の気持ちを汲み取ったのか、その都度声をかけて心配してくれた。

秋は元気で羨ましい…




 ・
 ・
 ・
 

「─痛ぁっ!」


(……ん?)

歩いてから約2時間くらいしてから、クラスの女子に突然異変が出てきた。
その女子も、どちらかというと運動が得意な方ではなさそうな大人しそうな奴で、やり慣れないことをしてしまった為、足を挫いてらしい。

「木内ぃ大丈夫??」

「うん。なんとか…」

足を挫いてしまった木内。
担任に言おうにも、一番先頭を歩いてるし、言ったところであの細身の体で50s近くある女子を抱えて行けるとは到底思えなかった。
どうやら、女子も俺と同じ事を考えていたらしい。

すると、



「木内!平気か?!」

「み、宮沢くん…?」


(──…陸?)

ずっと前の方を歩いていたはずの陸が、後ろの異変に気付いてこっちに戻ってきたのだ。

「足、どうかした?」

「…う、うん。ちょっと挫いちゃってさー‥」

「…‥そっかぁ」

すると、陸はなにやら突然考え込んで始めた。
…が、それもすぐに解くと陸は木内の前にしゃがみ込みながら言った。

「木内。俺の背中に乗って」

「…え?で、でも‥」

「いいから。…その足じゃあ歩くの辛いだろう?」

「…‥でもぉー‥私、結構重いから宮沢くんに悪いよ」

「バイトで鍛えた腕力をナメんなよぉ木内っ!俺はお前が60sあろうが、100sあろうが、朝飯前だぞ」

「っ、そんなにないもん!」

「ほんじゃあ決まり!遠慮しないで俺の背中に乗れよ!な?」

男子の背中に乗るのが少し恥ずかしいのか、木内は頬を赤く染めながら陸の背中に乗った。

何度も言うようだけど、ここはお坊っちゃんの多い学校のため、あーいう風に自分を犠牲にできる奴が少ないのだ。
さっき、木内が足を挫いた時だって、誰1人木内をおぶって行こうと思う奴なんていなかったくらいだ。

「…‥」

そして、俺もその1人だった。


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