アイマイモコ
09
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「……」
「おーい秋ぃ、待ったか?」
「んにゃ、今来たとこ」
「そっか」
今日は遠足の日──。高校生ともなると現地集合と言うのは珍しくないのだ。
だったら、遠足なんて小学生みたいな行事もぜひやめてほしいって感じだけどね。
ま、だけど現地集合というのもあまりにも味気ないので、俺と秋は途中で合流をすることにしたのだ。
「ところで瑞樹。今日の遠足ってさ、どこ行くんだっけ?」
「はぁ!?今更かよ?…苺狩りだよ!女子が班決めの時に騒いでたじゃねぇかよ!」
「……忘れた」
「はぁー‥」
唯一良かったことと言えば、学校指定のジャージじゃない事と私服でOKな事。
他校とすれ違った日には恥ずかしくて目も合わせられない。
女子なんて、ジーンズにスニーカーというラフな格好にも関わらず、いつも以上にメイクに気合いが入ってるし。
「宮沢ぁ、おはよー!今日晴れて良かったね?」
「おはよう!あぁ、そうだな!俺さー苺狩りって初めてだからいっぱい食うつもりなんだ!」
「あはははは!なにそれ!」
「俺の予定表」
「……」
俺の耳にイヤでも聞こえてくる陸の笑い声。
女子に囲まれながらはにかんで笑う陸の姿は、正直気になって仕方なかった。だから、
「…なんでアイツって、あんなに女子にモテるんだろう?」
…などと皮肉を言ってみたり。
しかし、
「優しいからじゃない?」
「……」
秋は戸惑うこともなく言った。
俺はふふーんと、不適に笑う秋を横目に盛大に溜息をついた。
「…お前‥性格悪すぎ」
「俺は瑞樹に真実をありのまんま言っただけだもーん」
「……」
‥まぁ良いんだけどね。
「マジで!?栗狩りとかぶどう狩りとかもあるのか?」
「えぇ?宮沢くんマジで知らなかったの?!」
「……あ、あぁ。俺知らなかった。そういうのって連れて行ってもらったことないし」
「へぇー…だったら宮沢くん、今日はかなり貴重な日だね?」
「おう!」
「……」
──俺と陸の間の溝は、一体どれくらいあるのだろうか??
俺は‥日が経つにつれて、そういう意味もないことを考えるようになっていった。
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