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アイマイモコ
04

「…あ」

昼休みになると学食で食べる人たちが多く、今もまさに生徒たちで群がっていた。
この時間が一番苦手だ。狭くて通りにくいし…!

だけどその時、ドア側から陸が1人で入ってくるのが見えた。

「瑞樹?」

「…っ、あぁ、悪い!秋たち先に行っててくれ」

なんとなく、陸に目がいってしまった俺。すると俺の視線にも気付いてない陸が、食券をおばちゃんに渡すとおばちゃんが陸の肩をポンポン叩いていた。



「陸ちゃーん!今日もAランチかい?お魚も良いけど、お肉も食べないとダメだよ?」

「お肉?えぇー!いやだよ!脂肪が付きそうだもん」

「もぉー、好き嫌いしないの!ほらお肉。特別サービスするからちゃんと食べるんだよ?陸ちゃん」

「…え?じゃあお金…」

「しー…。内緒だよ?」

「マジで!?やりぃ!ありがとうおばちゃん!」



「……」

教室から一歩出ると、今まで通りの人当たりの良い陸だった。
みんなが陸を無視するようになってから数週間が経ったが、これだけ大胆に悪口を言っていたのに、陸からの接触は1度もなかった。

「おばちゃん、ホントにありがとうねぇ!!」

「はいよ!」


陸‥本気なんだ。

本気で、これからも俺たちと接触しないつもりなんだ。
だって!昔の陸なら、ケンカをしちゃった時、何度でも納得するまでその人を懸命に説得していたのに…‥今の陸は、まるで正反対だった。

「…‥っ」

眉間にシワを寄せた。

拳に力が入った。

そんな俺に気付いてない陸を思いっきり睨んだ。

「ははははは!」

そして…それでも尚、俺には気付かず他の人に楽しそうに笑いかける陸。俺はどうしようもない絶望感がグルグルとこみ上げてくる。
けど、それと共に苛立ちも治まらない。胸が苦しい──…




「‥瑞樹?」

「っ!」

しゃがんでいると俺の頭上から優しい声がした。顔を上げればそこには秋がいた。

一瞬、陸だと思ってしまった自分を殴りとばしたい。

「…どうしたんだ、瑞樹?具合でも悪いのか?」

「…ど、どう‥して?」

「瑞樹がなかなか来ないから心配したんだよ…」

「……」


優しい優しい秋。
やっぱりコイツといることを選んで良かったかも…
だって、いつも一緒にいてくれるし、俺の心配もしてくれる。

それに引き換え…陸は‥
自分勝手で、俺をちっとも見てくれない。挙げ句の果てに絶交しても何とも思わない奴だ!


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