アイマイモコ 01 俺の知らないところで悪口を言われていたなんて、不愉快極まりなかった。 けど…それを修復するのも面倒くさいと思う俺に、友達を作る資格もないし、友達思いなんかじゃないのかもしれない。 それに、お金がすべてだと思っている金持ちのボンボンに友情を求める気もサラサラないし未練もなかった。 だから俺は瑞樹と秋の安っぽい友情も、所詮は“ごっこ”なんだとあざ笑えた。 友情なんて、かったるいよ。 * act.4 心此処にあらず 「あはははは!それがさ──」 「──うんうん」 「それでそれで?」 「マジで──」 季節は夏になり、クーラー設備のある学校だというのに、それでもノートや教科書で風を自分の顔に運んでる奴もいた。 俺もやっと学校に馴染み始めてきて、友達と遊ぶようになったのも今では日常茶飯事の事になっていたけど── ただ… ガラッ── 「……」 ただ…変わったことと言えば、陸がクラスで浮いた存在になってしまったことだった。 あんなに騒がしかった教室が、陸が入ってきたと共にシーンと辺りがシラケてしまった。 「……」 「アイツよく来れるよな?」 「何も考えてないんじゃない」 「うわぁ!調子に乗りすぎぃ」 そして、男子は誰も陸に声をかけなくなっていた。 どうやら、あの放課後の事がクラス中に広まったらしい…。 だけど、それを秋に言ったら、秋は「ほっとけ」と言った。 だから可哀想だけど俺は陸をほっとく事にした。 だって、みんなが無視したということは、陸がそれだけの事をしたからだろう? 「……」 「…‥」 少し罪悪感はある…と言うのは自分でも自覚はある‥。 現に、陸は俺とすれ違ったにも関わらず、また挨拶もなく素通りされてしまって少しショックを受けていたから… 俺の身勝手だとは分かっていても、陸にそういう事をされてしまうとムカッとする。 しかし陸は、クラスの奴がこんなに大胆に自分の不満をぶつけていると言うのに、顔色1つ変えずに頬杖を付いて遠くを見つめるようにして窓の外を眺めていた。 それが…陸の意地なのか、それとも本当に何とも思っていないのか、陸の考えてる事が俺にはさっぱり分からなかった。 「おい瑞樹、何ボーっとしてるんだ?行くぞ!」 「…あ、あぁ」 「──」 「───」 「───」 「─」 「……」 陸とつるんでいたグループの奴らさえも朝になると、手のひらを返すように陸から距離を置いていた。 [次へ#] [戻る] |