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アイマイモコ
04

「陸、おはよー」

「…あ、お、おはよ!」

次の日の朝、めずらしく学校に行く途中で瑞樹と会った。瑞樹は笑っておはよう、と俺に声をかけてくれたのだ。
夢みたいで俺は嬉しくて、つい頬が緩みそうになった。
そしてそのまま一緒に学校に向かう事にした。

「ひ、久しぶりだな?い、一緒に学校に行くのなんてさ」

「そうだな。悪い陸。俺も、用事がなければ一緒に帰れるのに…」

「……っ、」

またウソを付かれた。
瑞樹は、もうウソは付かないと約束したのにまたウソを付いていた。それも、そんなに分かり易い嘘をだ。

「なぁ、みず……」

「「「笹川〜〜!」」」

「……‥、」

俺が意を決して話しかけようとすると、俺達のすぐ後ろから1人ではない、集団の騒ぎ声と共に瑞樹の名を呼んでいた。そのせいで俺の声は自動的に遮られた。

「……おう。あれ?お前ら今日朝練じゃなかったのか?」

「サボったのだあ〜」

「ぶはははは!アホだあ!そんなの威張って言うことかよ」

「……‥」

男女が合わせて4人いた。
多分、瑞樹といつも行動している奴らだろう。
友達らは部活をサボったらしく、それをへらぁ〜とした顔で瑞樹に言えば、瑞樹はぷっ、と噴き出して思いっきり笑っていた。

──瑞樹。そんな顔、俺には最近してくれないよね…。

俺は一人やることもなかったので、明後日の方を見て終わるのを静かに待っていた。
すると瑞樹の友人の一人が、俺に気づいてこっちに視線を向けて言ってきた。

「あれ?なぁお前って、2組の…宮沢だろ!宮沢 陸!」

「え?…あぁそうだよ」

「やっぱし!お前1年の時、よく笹川と一緒にいたよな?」

「…うん」

今は瑞樹と俺が一緒にいる事は少ないけどな。

「あぁ…ごめん笹川!宮沢と学校に行こうとしてたのに俺達が邪魔しちゃったな?」

そう言って、瑞樹の友人は自分の頭をクシャクシャさせて、申し訳なさそうな顔をしながら謝罪の言葉を口にすれると、周りにいた他の友人を連れて別々に行こうとしてくれた。
俺は別に一緒でもかまわないんだけどな…‥、
とそう思った瞬間──


「あ、待って。陸は良いんだよ。コイツはこれから別の友達と待ち合わせて行くみたいだから、お前は此処で別行動なんだよな?陸」

「――え?」


どういう…こと?
俺、今日は別に他の友達と約束なんてしてないし…


「瑞樹…俺は別に…、」

「………」

「…っ、」

けど瑞樹の顔を見た瞬間、すぐに悟った。

『あっちへ行け』

そう言われた気がした。

「あ、あぁ、そうなんだよ!俺これから友達とバス停で約束があるから、皆さん、瑞樹をよろしくお願いします〜」

「そんじゃあ行こう」

そう言うと瑞樹は笑顔を浮かべながら、友達と共に学校へと行ってしまった。


「…――」

一人残された俺は、来るはずもない友達を待つ為にバス停で静かに立ち尽くしていた。

心には少しだけ穴が開いた。

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