アイマイモコ
03
次の日も、やっぱり瑞樹と一緒に学校に行く事はなかった。
「──で、陸はどうするの?」
「取り敢えず、俺もう少し考えてみるよ…」
学校に早く着くやいなや俺を教室で待っていたのは、二年間同じクラスメートの友人、佐原雄大(サハラ ユウダイ)だった。
そして、唯一俺と瑞樹の関係を知っているヤツでもある。
雄大は、最近俺が瑞樹の事で落ち込んでる事を知っていて、今も心配そうに俺をみる。
ちなみに、コイツには他のクラスに彼女がいる。その彼女との時間だってあるのに、その合間を縫って必ず俺との時間もつくって話しをきちんと聞いてくれる。
「たまにはさ、陸も強気な態度に出た方が良いぜ。前のお前の方がお前らしかったよ!」
「でも、あんまりしつこいと瑞樹が怒るんだよ。俺に友達が出来るのイヤなのか、とかさ…」
俺はいつだって瑞樹に対してそんな事思っていないのに、最近の瑞樹は自分で勝手に勘違いして皮肉を言ったりで、俺にまるでケンカ腰だ。
「瑞樹の野郎ぅ!ホントに周りが見えなくなってるんだな」
「…しようがないよ。瑞樹、今までみんなに遠巻きにしか見られてなくて友達が俺しかいなかったんだからさ…」
そうだ──。こんな風に笑ってそう言っておけば、雄大の、俺への心配の種は少し減るだろ?それに、自分自身に都合良いように言い訳ができるから。
「なぁ雄大、この話しやめようぜ?暗くなるし。それよりさ、古典のノート見してよ〜」
「はいっ!?お前自分のノートはどこいったんだよ?」
「よだれかけになりました…」
「陸ーっ!」
さっきの暗かった面持ちから一変、まるで嘘のように大笑いしながら頭を叩かれた。
周りにいたクラスメートもやって来て、俺たちの大笑いの声に賛同したのだった。
そして、今日も瑞樹と一緒に帰ることはなかった。
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