アイマイモコ
06
2限が始まったと言うのにそこに陸の姿はなかった。
「…‥」
俺の知る限り、中学の頃の陸は授業をサボるなどという行為は1度もなかったはず。そんな陸がサボるという事に俺は意外性を感じていた。
だけど俺と陸には1年という空白があった。だから、その空白の中には俺の知らない陸がいたっておかしくはないんだ。
それに‥陸がサボったからと言ってそれだけでは嫌いにはならない。
ガラッ──
「……っ」
俺は頬杖を付いて片手でペンを弄んでいると教室のドアが開いた。
そこにいたのは陸だ。
陸は、先生に「すいません」と言うと席に座れと促された。
そして…やっぱり陸は俺と目を合わす事はなかった。
「…‥」
俺は周りに気付かれないようにそっと横目で陸を覗いた。すると陸は座った席に落ち着くと頬杖をついて授業を退屈そうに聞きながら、もう片方の手でペンをクルクルと回し始めた。
さっきの自分と同じ事をしてる! そう思ったらなんだか笑ってしまいそうだった。
俺の視線になんか気付いていない陸は、ペンをクルクルするのをやめると今度はノートを徐に開き始めて頭をガシガシと抱えながら真剣にノートとにらめっこし始めた。
「…?」
へぇー授業熱心だなぁ!俺も見習わないとな。
そう思って俺も授業に集中しようと思った矢先──
陸は近付いてきた先生に教科書で頭を叩かれた。
「……!?」
な、なんでだ…!?あんなに真剣にノートを書いてるのに…
みんなも叩いた音に気付いたんだか、陸の方を一斉に注目をした。
「宮沢!お前は授業中に何をかいてるんだ!」
「ちゃんと書いてますよ!」
「『書いてる』の意味が違う!お前のは『描いてる』だ!」
「あ゙ぁぁー!俺のパラパラマンガがぁぁ!」
「バカもんが!授業中にノートに落書きするやつがあるか!いくつだお前は!」
「力作がぁ!」と手を伸ばし、先生に没収されたノートを名残惜しそうに見ていた。
…って言うかノート写してたんじゃなくて単に落書きしていたのか?あいつは。
しかも、パラパラマンガやる奴なんて久し振りに見たよ…
「……ぷ」
俺は、久し振りに見た陸の顔が可笑しくて、みんなに交えて一緒になって笑っていた。
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