アイマイモコ 03 「おはようございま〜す!」 「ったく、お前は。また遅刻か?入学してからまだ1カ月しか経ってないんだぞ!」 「でもまだ出席とってないじゃないですかあ?」 ──あ 「まったく、仕方ないなぁー。今日は特別だぞ。次はダメだぞ」 「ありがとう、先生っ!」 ──まさか。 「宮沢 陸、席に着きなさい」 「はーい」 みやざわ りく。 確かに先生はそう言っていた。 俺が探していた親友で元恋人の陸が、今俺の目の前にいた。 中学の頃よりも、少しだけ明るくて伸びた髪と、160pだった身長は170p超に伸びていた。 「宮沢、今日から転入生も来てるんだぞ。彼にも挨拶しろ」 「──あ。忘れてました。 そういえば、今日転入生来るって言ってましたね」 「お前なー。まあいいや。笹川!悪いが手を上げてくれないか?」 陸の為に転入生の俺の顔を、先生は何も知らずに教えようとした。 こういう再会も悪くないや。 だけど、それよりも今は、陸の反応の方が気になった。 「宮沢くん、よろしく」 「――っ」 俺は陸に満面の笑みで手を振ると、陸は口に手を押さえ一瞬ギクッとした顔をしていた。 おそらく、俺だって気付いてくれたんだと思う。 しかし周りは黙ってしまった陸を不思議そうに見ていた。 「宮沢、どうした?」 「…‥えっ?い、いえ!なんでもないんです。せ、先生…!俺トイレに行ってきます!」 「…は?…あ、あぁ」 そう言って陸は、まるで逃げるように教室を出ていってしまった。 嬉しいなぁ。俺の事を覚えててくれたんだ。 「ねぇねぇ?瑞樹、陸ちんの事気に入ったの?」 「…?‥なんでだよ?」 「――だって、お前メチャメチャ嬉しそうな顔してるぞ」 [*前へ][次へ#] [戻る] |