アイマイモコ
13
不思議と涙は出なかった。
だって、期待していた半面で俺達はもうダメだろうと思っていたし、あれだけ蔑ろにされてたらそう考えるのが自然だ。
「……うん!わかった。別れよう!俺もそれを考えてたし…」
「おい、陸!良いのかよ!」
良いも何も、本当は俺だってこんな事は望んでない!
だけど、ズルズル引っ張ってまた傷つくのはイヤだ!
「……ごめん雄大。もう決めたんだ」
「……陸」
「じゃあ決まり! でもさ、俺たち別れちゃうけどさー友達としてまた仲良くしような?」
「………っ!!!」
こいつは…瑞樹は、どこまで俺を傷付ければ気が済むんだ?
普通、こんな事があった後で元に戻れるわけないじゃないか!
もし俺が転校しなければ、お前はそうやって無神経に友情ごっこをして、俺の傷を増やすつもりだったのか!?
「陸、雄大。3年になってもよろしくな!」
俺は春にはいなくなる。
「…あぁ」
信じていた人に裏切られた俺。
「じゃあ帰るな!じゃあな陸!新学期になぁ!」
もう…人を信じられなくなる。
「うん。新学期な!」
今、この瞬間、信じる事がバカバカしくなってきたんだ。
信じれば馬鹿を見ると言われた気がしたんだ。
さっきまで、クラスメートに囲まれていた自分はすっかり消えていて、俺の気持ちは徐々に低下し、冷めていくのが自分でもわかった。
「さようなら、瑞樹…」
──最悪な最後だった。
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