アイマイモコ
12
俺が堪えているのをやっぱり雄大は見抜いている。
心配そうな顔をして、俺を横目で見てくる。
「…そっ、そっちこそ、どういうつもりだよ。女の子と腕なんか組んじゃってさー」
「……ん?あぁ。デート中?」
瑞樹がそう言うと、ずっと黙っていた隣の派手な女が「デートでしょ!」と甘ったるい声を出して言った。軽そうな女だ。
けど仮にも恋人の俺の前で堂々と「デート」なんて言う瑞樹の神経も疑ったけど。
問答ばかり繰り返す俺達。
俺は、もういい加減に確信に触れることにした。
「…じゃあ俺達は?俺達はどうなんだよ!」
「…は?」
「俺と瑞樹は付き合ってんじゃないのかよ!」
「……」
どことなく必死になってしまうのは、やっぱりどっかで期待している自分がいると言う証拠なんだな?
けど、その思いとは裏腹にやっぱり瑞樹はどことなく冷めた表情をしていた。
「…あのさ、その事だけどさ」
口を開いたのは瑞樹だ。
「俺、お前と別れてコイツと付き合うことにするよ」
瑞樹は親指で隣にいる彼女を指して言った。
隣にいた彼女も「ホントに!?」と、喜びに顔が綻んでいた。
「………」
絶望に立ち尽くしていたのは俺だけだった。
隣にいた、雄大はあまりの事に目を見開いてしまった。
瑞樹、やっぱりお前は変わったよ…
お前はそんな事を平気でいう奴じゃなかった。
俺たち、大分ズルズルと恋人ごっこを引っ張りすぎたのかもしれない。
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