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アイマイモコ
01

今日あった気持ちが、明日まである保証なんてない。
もしあるなら、それは奇跡だ。

だけど奇跡やら可能性なんて俺にとって有り得ない。
100パーセントの好意を100パーセントで全否定された俺には、そんな奇跡は無いに等しい。

瑞樹…俺はあの時お前の気持ちが分からなくなったんだ。


***


後ろから見る陸の姿――。

席替えをして嬉しかったのは、この特等席に座れたこと。
でも悲しいかな、後ろ姿を見ることができても、陸がこっちを向いてくれないとお前の顔がしっかり見えないんだ。

それが…悲しい。

なあ…?
お前は今どんな顔をしてるんだ。


 *






act.7 それが僕の見た最後の君




「瑞樹…おはよ‥」

「‥……。おはよ」


朝学校に来ると、瑞樹はクラスメイトと和解していた。
別に俺は根に持つ方ではないので瑞樹たちが和解したことは何とも思っていない。だからこれ以上、首を突っ込むようなことはしなかった。
ただ、調子のいい奴らだとは思ってはいるけど。


「陸おはよ!」

「‥……」

俺は相変わらず無視してる。
はぁ…。これも充分、根に持ってるっていうのかな。
まぁ、もうどうでもいいや。
とりあえず、秋がみんなを止めさせたことに変わりないから。

クラスメイト達から一際離れた自席を俺はそっと立ち上がった。

「陸!」

自分の名を呼ばれた。
振り向けば瑞樹が立っていた。

「…何だよ」

「睨むなよ…」

「俺が睨もうが睨むまいが、俺の勝手だろ」

「‥…まぁーそう、だな」

一番呼ばれたくないやつに呼ばれて、俺は心底い嫌な顔をしていたんだろう。瑞樹は困ったような顔をちらつかせた。

「笹川瑞樹」

俺はちょうど良い、と言わんばかりに瑞樹を「ちょっと来い」と、空き教室に呼び止めた。
突然のことに双眸を丸くさせる瑞樹は、そのまま俺の後に続くように付いてきた。




「何だ?どうしたんだよ。こんなところに呼び止めて…」

「‥…」

「陸…?」

「諦めろ」

「……え?」

空き教室に付くや否や、いまだ俺の行動の意図が掴めていない瑞樹は、俺に問いてきた。
しかし俺の返答は、まるで瑞樹の問うものとは違ったことに瑞樹はまたしても片眉を上げる。

「…何?…諦めろ、って…」

「俺のこと」

「…えっ?」

察しが悪い瑞樹。――まあ、分かりにくく言った俺にも責任があるけどさ。――その瑞樹が、ようやく俺の意図を掴んだようで、驚いたように目を見開かせていた。
ここまで言えば分かるだろう。

「もういい加減、関わるのはうんざりだ」

「陸、お前、」

「もうお前とは知り合いじゃない。元親友でも元恋人でもない。ただのクラスメイトだ」

「陸っ、」

瑞樹には猶予など与える隙さえなく、ただただ俺の名前を呼び続けていた。おそらく瑞樹は混乱してるのだろう。

「陸っ‥何で…、」

「何で、って…。瑞樹お前がそれを言うのかよ」

「‥……」



誰もがこんなに辛い思いをするとは限らない。また、それよりももっと辛い目にあってる人だっている。俺だけではない。
けど、もう限界だった。

自分が報われたくて惨めなくらい縋りついた恋も、あっけなく終わりを告げる。
もう一度やり直そうと決めた時、お前と再会してしまった。

一人ぼっちなことよりも一人にされることの方がよっぽど辛かった。


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あきゅろす。
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