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アイマイモコ
11

「はぁ。さみぃ!もうすぐ4月なのに寒いなぁ」

「…うん、そうだな」

みんなとは別方向で、同じ方向なのは雄大だけだった。

「…陸、風邪引くなよ?」

「あははは、お前もな?彼女と仲良くしろよ〜!」

雄大にもずいぶん迷惑をかけたのにコイツときたら、相変わらずお人好し奴だった。
俺はそろそろ雄大とも分かれ道になるんだ、と感傷に浸った。

だけどそんな中、後ろから声をかけられ頭の中が真っ白になった。



「陸…?」

「…‥っ!」

聞き覚えのある声に、俺と雄大は妙な緊張感が走って肩をビクッと震わせた。

「………」

「…瑞‥樹」


──やっぱり瑞樹だった。
しかも、隣には腕を組んだ女の子も一緒にいた。

「……。お前ら何でまだ制服着てるんだ?」

「…‥え」

瑞樹は不思議そうな顔をして俺に聞いてきた。
それはそうだ。今日は終業式で、帰りも早いはずなのだ。
普通だったら、もう帰宅してておかしくないのに夜10時にこの寒空の中、制服でウロウロしてれば変に思うだろう。

──ただし、今日が俺の最後の日だと言うことを知らなければ、の話しだけど。


「みんなでカラオケだよ」

「カラオケ?」

「そう。楽しかったよ!」

「ふーん、暢気なクラスだなぁ。たかだか春休み会えなくなるくらいで名残惜しいのかよ?」

「……っ!」

「つーか、どうせ春休みだって二週間だし新学期からだって会えるんだからよくねぇ?」

「………‥」

(それが出来ない俺はどうするんだよ!)

俺は明日で引っ越ししちゃうんだから中々会えなくなるんだ!瑞樹は知らないから平気でそう言うこと言うんだ。

──やばい、また泣きそうだ!

「……っつ!」

だけど、俺はまたあの時のように必死で歯を食いしばった。

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