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ブラザーに愛をこめて
19

わけがわかんない奴は、ほっとく事にしよう!
──と思っているのも束の間、「あ」と声を漏らして意識を戻した龍は俺をチラっと見ると、少しはにかんだように笑いながら肩を叩かれた。

「翔太!今日、一緒に帰ろう」

「‥え?なんで!?今日は愛子さんはいいのか?」

「なんで、って‥」

俺がそう聞くと龍は少し罰の悪そうな顔をしていた。
今日の龍は、少し浮かない顔をしている。それは腹が痛いわけじゃないのかな?

「たまには良いだろ!それに愛チャンは‥今日は良いんだ‥」

「…?‥そ、そっか。じゃあ久し振りに一緒に帰りますか!」

「…‥」

それから龍はそのまま黙々とお弁当を食べ続けた。
時折、箸を持つ手を止めてはハァと溜息を付いたりする。

「なぁ?龍」

「‥…」

「おい、龍ってば!」

やっぱりコイツ‥今日は少し変かもしれない。

3日前まで愛子さんと食べると言ってあんなにお菓子とか買いまくって張り切ってたのに。
それも食べ過ぎて昨日お腹をこわして学校を休んだくらいに…
だけど龍は何も言ってくるわけでもなかったので俺は知らないふりをした。

しかし、俺はどうしても顔に出てしまうらしく、今も怪訝そうな顔で龍が俺を見てきた。

「何だよ翔太!」

「いや、なんでもねぇ!」

知らないふり出来るかなー?

まぁ、クラスは違うからあたふたする心配はないけど、どうもテンションの低い龍を見るとこっちまでテンションが下がってしまう。
だからと言って、一緒に帰りたくないとかじゃなくて俺は龍が龍らしくないのがイヤなんだ!

やっぱり龍になんかあったんだとしたら、昨日だと思う!それも愛子さんと!

「ごちそうさま。翔太、まだ食べてないのかよ?」

「…あ」

「…‥何やってんの?」

「…ははははぁー」

昼休み残り10分。
龍の事を気にし過ぎて、自分のお弁当が減っていなかった事に気付いて苦笑いをした俺だった。
その時の龍の呆れた顔は、すっかり元の龍に戻っていたので取り敢えずこのままそっとしておく事にした。

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