ブラザーに愛をこめて
15
「おぉ〜かっけえ〜!」
俺は朝早く制服に着替えると、一目散に鏡の前で昨日兄貴から貰ったシルバーのアクセサリーを付けてみた。
学校で指輪はダメでも、アクセサリーまではあまり強く咎めたりはしないと言うことで、さっそく学校に付けていくことにした。
「俺、格好いいじゃーん!」
「ばーか、格好いいのは俺が選んだソレだよ!」
「っ!!」
俺は1人であらゆる角度からポーズを決めていると、後ろから兄貴が入ってきて俺を払いのけ、髪をいじり始めた。
「ちょっ…てめっ!あのさ、俺が今使ってるんだけどっ!」
「…‥お前、ソレ付けるのに何分かかってるんだよ?」
「…‥あ」
軽く40分は鏡を独り占め。
だってだって、俺は兄貴と違って、特に目立つ特徴と言うのがないんだから、少しくらい格好つけても良いじゃないかっ!
「――気に入ったのか?」
「‥え?」
「ソレ」
兄貴はそう言って顎で俺のネックレスを差した。
「…あぁーま、まぁな。それに俺、あんまりこういうの持ってなかったし…! 兄貴ってさ、こういうの選ぶのだけは得意だよな?」
「“だけ”は余計だ!それにお前はこういうのにホントに疎いからなあー…」
あぁ…なんか俺、今絶対に言われると思ったよ。
あーはいはい。兄貴の思考パターンはもうわかったからさー。
続けて兄貴がまた何か言うのかと思いきや、俺と視線がカチ合うと、途端に口に手を押さえながら俺から目線を逸らした。
「…‥」
「…?」
なんだ?…へんな兄貴。
──ピンポーン
「……ん?あ、はーい!」
「…」
誰か来たみたいだ。
だけど随分失礼なお客だ。
誰だか知らないけど、何度も何度もしつこくインターホンを鳴らしてくる。今出るっつーの。
──ピンポーン
「はーい、どちら様ですか?」
──ピンポーン!
「今開けます!」
──ピポピポピポピポーン!
「あぁー!ったくもうっ、しつこい!うるせえっつーんだよっ!」
いきり立った俺は乱暴にそう言うと同時に扉を勢いよく開けた。ったく…、礼儀知らずのバカたれはどこのどいつだぁっ!
[*前へ][次へ#]
[戻る]
無料HPエムペ!