ブラザーに愛をこめて
10
「頬も治りかけてんのに頭にコブができてんじゃねぇかよ! てめぇ、いつか絶対に告訴してやるからな!」
「バーカ。家族じゃ告訴出来ねぇんだよ!」
「じゃあ、今日から他人だ!」
「…ガーキ」
‥…ぐっ!ガキって言うな!
俺は頭をさすりながら兄貴を睨んだが、兄貴は平然と溜息をついていた。
「…ったく、お前は‥なんでそうお子様なんだ」
「ちっがーーう!俺、ガキじゃねぇもん!」
「すぐ泣いちゃうのに?」
「…‥っ!」
コイツ‥またNGワードを!
けどお店の中だから流石にテーブルをひっくり返すのは諦めた。
「帰る…!」
「…‥は?」
だから俺は帰ることにした。
兄貴は俺のこういう所がガキだと言ってるんだと思う。でも兄貴だって4つも下の弟に対して随分大人気ないと思う。
「待てよ、翔太!」
「いーやーだ!兄貴、意地悪ばっかりするし!それにだいたい兄貴は‥────っ!」
俺は兄貴を威嚇するように睨んだ。すると兄貴の掌によって俺は口を塞がれた。
そして兄貴の視線は俺の目をじっと見ていたのだ。
何がなんだかわからず俺はただそれをキョトンと目を丸くして見ている事しか出来なかった。
「…‥」
「…帰るな! それにせっかく2人っきりになれたんだし‥」
「‥?‥何だって?」
「…っ、なんでもない」
俺は兄貴がボソッと呟いた声が聞き取れずにもう1度聞き返したが、兄貴は何にも言わなかった。
「…‥か、帰るんだったらもったいないから全部食ってからにしろ!」
「……あ」
…それは兄貴の言うとおりだ。
確かに食いかけで帰るのはもったいない!
そう思う俺であったが、このまま兄貴の言うとおりにするのは癪で、残っていたサラダなどを思いっきり音をたてながら平らげてやった。
これが俺の精一杯の反抗心だ。
もちろん、兄貴の眉間に何本ものシワを寄せていたのは言うまでもない。
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