ブラザーに愛をこめて
08
「いっただきまーす!」
「ぷ!」
「何だよ!」
「別に…」
お腹の虫が治まらなかった俺は、頼んだパスタが来て顔を綻ばせながら手を合わせた。それをずっと見ていた兄貴が突然噴き出した。
「‥ぷっ、お前っていつもそうなのかよ?」
「…は?何が? って言うかいつまで笑ってるんだよ!」
「学校でダチと飯食う時もいつもそんななのかって言ったんだ?」
「…‥」
兄貴が俺の学校生活に関心を持つなんて驚いた。
子供の頃はよく聞いてきたけど、俺が中学生になった頃からあまり聞いてこなかったからちょっと拍子抜けした。
「‥は?んー…よくわからん!龍と食うことが多いからな!」
「そっか…‥」
そういえば兄貴もよく女の子を連れてくるけど、今まで連れてきた中に兄貴の好きな人がいるのかな?
「…って言うか兄貴もさぁ悲しいよなぁ。お前も好きな人いるって言ってたのに弟と飯を食うなんてさ…」
「…‥」
「…あ!なぁ、兄貴の好きな人ってどんな人なの?」
「…はぁ?なんでそんな話になるんだよ」
「いいじゃんいいじゃん!ケチくさい事言わずに教えろよ!このこのぉ!」
俺の目は好奇心でキラキラしていたが兄貴の目は泳いでいた。
…お? おぉ!兄貴が困ってる困ってるぞ〜!こんな顔見たことがないや。
へっへっへっ!いつも俺をからかっているんだからこのくらい聞いてもいいよなぁ!
「なぁ兄貴?どんな人なの?」
「あほ!」
「…‥は?」
兄貴はしれーっとした顔をしながらそう言った。
「だから、あーほっ!」
…‥あ…ほ‥って、あんた‥
俺はしばし、意味が分からずに頭をがしがしとかきながら片眉を上げて考えていた。
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