ブラザーに愛をこめて
07
店長さんは、誰に向かって頑張れと言ったんだろうか?
俺に対してだったら、高校頑張れって意味だし、兄貴に対してだったら、成績の頑張れって意味なのかな…?
「兄貴ぃ〜もう俺腹減ったよ!もう家に着くのか?」
それよりも、学校が終わってから何も食べていない俺は腹が減りすぎて、泣く泣く車のウィンドウに凭れていた。
「家はまだだ。今日はこれから外で飯を食うぞ!」
「はっ!?兄貴待ってよ!俺、お金あんまり持ってきてないだけど!」
「いい。俺が持ってる」
「………」
えーと‥だから何なんだと言うのだろう?
兄貴が出してくれるとか?
いやいや、それはないない!あの兄貴がお金を出すなんて…
「今日は俺が出す」
「…‥え!? あ、で、でも、高いところはダメだぞ!後で返せねぇし!」
「…バーカ!返して貰おうなんて思ってない。今日は特別だ」
ま、ま、マジで!?
あの兄貴が?…あのお金にうるさいあの兄貴が奢ってくれるってこんな事滅多にない…‥
「やったぁぁー!ありがとう!兄貴も良いところあるじゃーん。ははは!兄貴大好き!」
「…‥っ」
そう言った俺は嬉しくて兄貴相手に満面の笑顔を向けて、先に走って行ってしまったから気付かなかった。兄貴が髪を掻き上げて、戸惑ったような顔をしてほんのり頬を赤く染めていた事に。
「‥チクショー、翔太の奴…ホントに憎らしい奴だ!」
「兄貴!ここで食べよう?」
「…はぁー、ま、いっか」
「‥ん?兄貴なんか言った?」
「なんでもない!」
そう言って俺達は無難にファミレスに入っていった。けど久し振りの外食に俺は子供のようにはしゃいでしまった。
‥まぁ、何だかんだ言っても兄貴だってまだ学生だし、高い所で奢って貰うのは流石に気が引けるし。
さーてと。何食べようかな?
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