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ブラザーに愛をこめて
01


朝、目が覚めると制服のままだったはずの姿はなくパジャマ姿になっていた。

「……‥」

多分兄貴だと思う…

‥て言うか俺、昨日なにかものすごいことを言った気がするんだよな! あぁ!しかも俺、よりによって兄貴の前で泣いてしまったぁー
うわぁ…!最低最悪だ!

俺は昨日の泣きを思い出し、頭を抱えて唸っていた。
けど…取り敢えずここでウダウダ考えても仕方ないので俺はハンガーにキレイに掛かった制服を取り、着替え始めた。



「…‥んーー?」

歯磨きを終え、そーっとドア越しからリビングを覗くとキッチンでは兄貴が朝ご飯を作っていた。
…しかもアイツ、鼻歌なんか歌ってやがるし!
すると昨日は晩飯も食わずに寝てしまった俺の腹の虫が鳴った。
あぁ、お腹すいたぁーー!!
流石にこれには勝てず、俺は意を決してリビングに入る事にした。


「…おう。翔太!」

「…‥!」

俺が入ってきたのに気付いた兄貴は俺に朝の挨拶をしてきたが、俺は昨日の大泣きのこっぱずかしさからまともに顔が合わせられなかった。

すると兄貴が朝ご飯を持って、近付いてきた。

「翔太!挨拶ぐらいしろよ!」

「‥っ!‥お、おはよ‥」

「‥はぁー、ったく。お前は挨拶もまともにできないのか?」

「っ! なんだと!」

朝ご飯をテーブルに置くと兄貴はいつもように俺をバカにしたように笑ってきた。
そして俺がそれを言い返すのはいつもの事。

そしてだいたい俺が口でかなわず、ふてくされる。

「‥…」

「‥!…な、なんだよ!」

「……や、別に‥」

「……?」

‥なんだよ?ジロジロと!

俺は膨れながら黙ってご飯を食べてるとジッとこっちを見ていた兄貴に気づき、俺と目が合った。
だが兄貴はすぐに逸らした。

思わず怪訝そうな顔で兄貴を見たが、俺は気にすることなくまたご飯を食べ始めた。
だが、その後また兄貴が俺を見ていた事には、まったく気付いていなかった。

そしてご飯も終え、学校に出る時間になると兄貴が俺の部屋に入ってきた。

「…おい…翔太」

「うわっ!勝手に開けるなよ! なんだよ!」

「…‥」

「……?」

俺は用件を聞いてるのに兄貴はそっぽを向いて髪を掻き上げているだけで中々本題に入ろうとしなかった。
何しにきたんだ‥?

「…兄貴、なんだよ?」

「…‥なんでもねぇ」

「……はい!?」

そうぶっきらぼうに言った兄貴は部屋を出ていった。

な‥なんだったんだ?

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