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ブラザーに愛をこめて
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この状況はどう考えても明らかに俺が悪い。けど、いざ謝るとなると、それはまた別の話だ。
だって、自分に非があったとは言え、兄貴に頭を下げるなんて、なんか癪じゃないか!

「翔太、なんか俺に言うことがあるんじゃねぇのか?」

……ほらな?こんな態度されたら、謝まる気も失せるし。
確かに、長谷川さんの時は素直に謝れたけど、兄貴に限っては、普段の事もあってなかなか素直に謝れない。

「……」

俺はそっぽを向いた体勢のまま、視線だけを横に向けた。
けど、俺のその態度がどうやら兄貴の逆鱗に触れたらしい。

「……ちっ。てめぇ!いい加減俺の言うこと聞かねーと外出禁止にするからな!」

「…‥なっ、なんでそういうことになるんだよっ!?」

「早く帰れ。って、俺はいつも言ったはずだ!…それにお前が言うこと聞かねぇからだろ?」

…はぁ!?言うこと聞かないって、何じゃそれは?
俺もう高校生なのにコイツ、頭おかしんじゃねーのか!?

「だああああ、もう!兄貴じゃあ話しにならないから、母さんを呼んでくる!」

「……あ。翔太クーン?今日はキミ達のお母さん、お父さんの所に行ったらしいよ?」

「‥へ?」

と、長谷川さんが横から言った。

………マ、マジで!?
な、なんで?お母さま?何でこんなタイミングで父さんの所に行っちゃうわけ!?

しかも…

「俺、聞いてねぇし!」

「はぁー…お前に言ったら、絶対にまたあのミジンコの家に泊まりに行くだろう?」

「バッカ野郎!当たり前だ!絶対に龍のとこに行くに決まってんだろ!?…ったく。何が悲しくて、クソ兄貴となんかと2人っきりになんなきゃいけないんだよ!」

高校生にもなって、親に頼むのも恥ずかしい話しなんだが、いつもケンカが始まると俺達はやめる気配はなく、それどころか益々ヒートアップしてしまう。
そんな時は、傍にいる母さんが冷静にケンカを落ち着かせてくれるのだが、その母さんも、出張中の父さんの所に行ったら2ヵ月は帰ってこない。


「残念だったな、翔太?お袋がいれば、今日もなんとかしてもらえたのになぁ?」

「……っ」

ちくしょー!悔しいぃー!
しかも、兄貴が口元が笑ってる。そんなクソ兄貴に、俺はもう悔しくて握り拳を作っていた。

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