ブラザーに愛をこめて
13
「翔太くんは‥今好きな人とかいないの?」
そう来たか!俺は悲しいことに奈緒に未練ばっかり残ってて今まで誰とも付き合えなかった。
決して、奈緒のせいではない!
「俺はいないよ」
「そう…」
「あぁ、ほら!お、俺、モテないしさ。あははは!」
「……そんな事…」
なんか、奈緒と話してると昨日のことのようにあの頃の事を思い出してしまう。
そして情けなくも俺には自慢する所なんてないから、つい会話が卑屈っぽくになってしまう。
「兄貴はアホだけど、顔だけは良いしな!そりゃ、みんなも兄貴の方を見ちゃうよ」
「そんな事ない!!」
「っ!」
気付いたら、奈緒が今までにないくらいに大きな声を出して必死に否定をした。
あまりにない珍しい奈緒の光景を見て、俺は思わず言葉が出なかった。
「……少なくとも、私は翔太くんの事‥好きだったよ!」
「………」
───だったよ。
この一言は俺を現実に引き戻すにはちょうど良かった。
そしてもう過去系なんだと、はっきり言われたような気がした…
これだったら俺の出る幕なんてないじゃないか。
「……ありがとうな、奈緒。‥あぁ!そういえば奈緒こそ、好きな奴とか出来たのか?」
「…え?…あ、うん」
「…‥」
……あぁ、やっぱりな。
俺はこういう時の勘はよく当たるから本当に嫌になる。
俺はなんとか精一杯笑うようにしていた。
「…そ、そっかぁ!彼氏、学校一緒なのか」
「………うん」
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