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ブラザーに愛をこめて
12

そんなこんなで、別れてから一度も会ってなかった俺たちが、今、こうして3年ぶりに再会したのだった。

「「………」」

俯く俺と奈緒。


「…ねぇ龍くん?奈緒ちゃんと翔太くんって、知り合いなの?」

「……」

俺たちの沈黙が続く中、龍と愛子さんが少し後ろの方で心配そうに話していた。

「……翔太と、奈緒先輩は3年前付き合っていたんだ‥」

「……」

さっきまで笑っていた奈緒も、俺と再会してだんだんと顔が沈んでいくのがわかった。
頼むからそんな顔するなよ。

「……奈緒。げ、元気してた?」

「…う、うん。まぁまぁかな」

「そっか…」

やっぱりな。とは思っていたが、3年のブランクは結構キツかった。
俺たち、前はあんなに2人で笑っていたのに今ではそれもなく、あるのは気まずさだけだった。
会話もギクシャクしてるし。


「あ、あのー…‥」

その気まずい雰囲気から一変、横から龍と愛子さんが静かに出てきた。

「翔太?あのさ‥俺達、邪魔しちゃ悪いからさ、先に帰るよ」

「……あ、あぁ」

龍は自分達がいると話しづらいんだろうと思ったのか、2人は帰ろうとしていた。
きっと龍たちも居づらいだろうなと思った俺は取り敢えず今日のところは先に帰ってもらうことにした。

そして、残されたのは俺と奈緒の2人だけだ。

「……」

「……」

せ、せっかく2人っきりになれたのに会話がない
やっぱり…俺から声をかけるべきなんだよな‥??

「奈……」

「翔太くんは…!」

「!!」

ビックリした!
まさか奈緒から喋るとは思わず肩をすくめてしまった。

奈緒はたどたどしくも一生懸命、俺に話しかけようとしてくれていた。
昔の奈緒だったら、この行動は有り得ないことだ。


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あきゅろす。
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