ブラザーに愛をこめて
09
「えぇ!龍くんとここで会えると思わなかったよぉ」
「俺も俺も!」
どうやら噂の“愛ちゃん”と偶然、遭遇したらしい…
………ん?あれ?
「……あ、愛子さん!?」
俺の声に、2人は同時にびっくりした顔でこっちを向いた。
そして向いた所で、龍の隣にいた“愛ちゃん”も驚いていた。
「あぁぁぁぁ!翔太くん!?」
龍の隣にいる彼女の『愛ちゃん』とは、先日大学で、兄貴の友達。だと自己紹介をしてくれた城田愛子さんだったのだ。
あぁ、そっか!龍に写真見た時の違和感はこれだったんだ!
そして、まるで事情を呑み込めていないアホな龍くんは目を完全に丸くしていた。
「あぁ!じゃあ龍くんの親友って翔太くんの事だったの?」
「あ、はい。あぁでも、俺も驚きました。龍の彼女が愛子さんだったなんて…」
いやぁ、兄貴の友達が龍の彼女さんなんて、世間は狭いよ。…と言っても同じ学校の大学と高校だから、ない事もないか?
「…えーと‥翔太と愛ちゃんの関係は一先ず置いといて。愛ちゃん、こんな所で何やってたの!?」
「…あぁ!そうだ忘れてた!後輩と一緒に帰ってて、今そこのコンビニで買い物してたら龍くんが見えたの」
「で、後輩の子は?」
「買い物中だよ!…あ、ほら出てきたみたいだよ」
愛子さんの後輩さんが出てきたらしく、愛子さんが呼びかけるとコンビニの袋を持ってこちらに向かってきた。
──だが、忘れちゃいけない事が1つあったのだ。
「おーい、奈緒ちゃーん!こっちこっちぃ!」
「……え?」
──忘れちゃいけなかった。
「…………!」
「………っ、」
──元カノも同じ学校に通っているって事を…
俺も、いつ会うかもしれないって予測しておきべきだった。
「………奈緒」
「……翔…太くん」
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