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ブラザーに愛をこめて
17

「翔太のやつ、どこまで買い物に行ったんだろ」

「携帯は?」

「…繋がりません」

「まぁでも翔太くんなら大丈夫だよ。もう子供じゃないんだからさ」

「けど……」


兄貴が心配してるのも露知らず、ブラブラとコンビニで時間を潰していた。
今は気持ちを落ち着かせることが先決だ。



「心配も良いけどさ、弟離れもしないと他の恋愛出来なくなるぞ」

「………えっ」




本当に頭の中の整理が出来るのだろうか。
現にこうして、何度も何度も同じことを繰り返し考えてるし。
本当は時間が解決なんてしてくれない。
でも答えを出すのが怖い。
口に出すのも怖い。

俺たちの関係ってやっぱり不自然すぎる。
少なくとも、愛だの恋だのそんなことが許される関係ではない。
そうだよ。答えは簡単じゃないか。
俺からはっきり言えば良かったんだ。

だから、終わりにする。


その言葉が頭を占めた時俺の足が自然と動いた。
コンビニを出た俺は急いで帰路についた。
傷は浅いうちに解決した方が良い。
じゃないと兄貴を苦しめるだけだ。

悩める弟もこれでおしまい。


明日から普通の兄弟に戻るんだ。





「怜治くん、翔太くんは君に眼中無さそうだよ。それでも諦めないの?」

「………な、何ですかいきなり」

「だって、怜治くんの空回りが見ていてすごく痛いからさ」

「っ、」

「あまりにも報われないから、可哀想とすら思ってきたよ」



あれだけ悩んだ俺はなんだったんだろう。
兄貴に好きだと言われて俺はおかしかったのかもしれない。
おかしくもなるけどな。
あまりにも好き好き言うから、感情移入したのかもしれない。
俺のために涙を流した兄貴を、哀れに思ったのかもしれない。

そうかもしれない。


うん。かもな。


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あきゅろす。
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