ブラザーに愛をこめて
14
え?
俺が……なんだって?
依然兄貴の怪訝な表情は崩れない。
途端そんな兄貴に訳も分からず居心地が悪くなり眉を顰めて兄貴をみた。
「な、なに変な顔してんだよ」
「………。お前もな」
「なんなんだよ!」
「………おまえさー、それって…」
は?なんだよ。
兄貴は口を開くが途中で何やら考え込んでしまった。時折人の顔を見てはため息を交える。
なんかすげえ失礼なやつだ。
けど今度は俺から視線を外しさらに黙り込む。
「なんだよ!」
「いや、なんでもね」
「はあーっ!?なんなんだよ!気持ち悪いな!てめぇ最後まで言えよ!」
「いい。それに、言ったところでお前絶対認めねーし。ーーそれよりも暁名さん来たらよろしく。あと片付けもな!」
「………………」
そう言って自室に戻ってしまった。
なんだよ。気持ち悪いな!
結局何が言いたかったのか分かんないままだが、まぁ…そういうこと時々あるし今回は目を瞑ってやるよ!
それよりも、どさくさに紛れて片付けまでさせる兄貴にムカついたのは言うまでもない。
あったま来るな!
兄貴って、時々意味不明な行動をするから未だに掴めない。
アキナを今までこんな時間に家に招いたことなどなかったのに、バイト帰りだからという理由でいとも簡単に家へ連れてくる。
よっぽど気があったのかな。
兄貴って神経質なところがあるからな…。
あー…アキナに会うの何か嫌だな。
あの人に会うと意味もなくリキが入ってる自分がいる…というより、なんとなく緊張する。
多分あの人も兄貴同様に行動が掴めないからなんだろうな。
笑ってるようで笑ってないあの表情が読めない。
「翔太」
「っ!…な、何!」
びっくりした!いたんだ。
自室に戻ったはずの兄貴がいつの間にかリビングにまた来ていた。
「暁名さん、すぐ近くまで来てるみたいだ」
「……へ、へぇ…」
「………。今日は泊まってもらおうかな〜。寒いし一緒の布団に入って朝まで抱きしめて暖めてもらおうかなー」
「っ、」
「せっかくだし風呂も一緒に入ってもらうか」
はぁっ?
布団に入って風呂まで一緒に入るだと!
なに気持ち悪いことしてんだよ!第一男同士だぞ!
一緒に入るってことは密着なんかするんだろ!
そんなのいいわけないだろ!
「っ、な、なんでそうなるんだよ!」
「一緒に風呂に入ればすぐあったまるし、それに二人でいいことも出来るだろ」
「っ、」
ちょっと待てよ。
あったまるからって二人で入ることないだろ!
風呂の中に暖房だって付いてるし、言うほどそこまでまだ寒くねーし。布団だって客室に予備だってたくさんあるんだから密着する必要ねーだろ!
なんで密着の必要があるんだよ。
「早速風呂の準備するか。風呂ためないと……、」
「ーーちょっと待てよ!」
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