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ブラザーに愛をこめて
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「皆さん遅くなってすいません。お待たせしましたぁ〜」

「……‥」

怜治の部屋に戻った奈緒。しかし重そうに持っていた荷物に、怜治や周りにいた友人らも唖然としていたのだ。
一番最初に口を開いたのは愛子。

「ぇえ〜!奈緒ちゃんこんなに買って来ちゃったの?」

「…あれ?皆さん2リットルを四本だと言ってませんでしたっけ」

「違う違う。奈緒ちゃん、500ミリを四本って言ったんだよ」

「っ、ええーっすいませんっ!」


きっと翔太がここにいたら、こう言うだろう。
『俺、なーんかおかしいと思ったんだよねぇ』と――。

このような勘違いは、奈緒にとってはよくあることなので、黙認してる友人たちが笑いながら「またかよ」とか「さすが奈緒」とからかわれる。
しかし、あれだけ重い物を持って、多少息切れはしているものの、それにしては彼女の余裕な立ち振る舞いが気になっていた一同。


「ねえ…奈緒ちゃん?荷物持つの重かったんじゃないの?」

「いいえ!」

「だって四本だよ!?」

「はい。でも翔太くんが手伝ってくれましたから!」

「――っ、」


奈緒の言ったことに、誰よりも早く反応を示したのは怜治だった。

もちろん――。
翔太、とその名を聞いて知らない友人もいるので奈緒は「園田先輩の弟さんです」と付け足した。

「でも、翔太くんって相変わらずしっかりしてますよね。 私っていつもおっちょこちょいで抜けてるところあったから、中学の頃は部活でも色々助けてもらったし…。さっきも自分から手伝ってくれたんです」

「なになに?奈緒って、園田の弟と接点あるんだ?なんか意外!」

「は、はい…。中学のころ部活が一緒だったんです」

「へーえ?それだけ?」

そう言ったのは、愛子の隣でにやけていた友人の一人だった。
奈緒と翔太は、部活の先輩後輩という立場には間違えはないが、ほとんど親しい間柄でもない先輩に実は元彼だった、という事実は敢えてこの場では伏せた。

「…‥。そ、そうですよ」

「えぇ〜!何、今の間。奈緒、超怪しいんだけどお〜!」

「そ、そんなこと…!」

「あー焦ってるぅ〜!」

「理恵、あんた酔ってるの?からかうのはやめなさいよ」

「え〜いいじゃーん。愛子だって奈緒の関係気にならないの?」


茶化ししつこく問いつめる彼女に、愛子が制止の声を掛ける。しかし、彼女の興味はすでに、知り得るはずもない奈緒と翔太の関係にしか頭が回っていなかった。

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あきゅろす。
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